(4) 登録農薬の適用作物
登録農薬の適用作物については、対象作物が適用作物に入っているかどうかを確認することが必要になるが、その分類については、下記の農林水産消費安全技術センターのホームページに詳細が記載されているので、注意する必要がある。
? 農薬登録における適用作物名について
http://www.acis.famic.go.jp/shinsei/sakumotuhyou.htm
? 「農薬の登録申請に係る試験成績について」の運用についての別表1
http://www.acis.famic.go.jp/shinsei/3986/3986
号別表1.pdf
2.1.3.特定防除資材
(1) 特定防除資材
現在特定防除資材として認められているのは、「地域の天敵」「重曹」「食酢」の3つのみである。
「地域の天敵」は、JAS規格本則の生物的防除に該当するので、本則に適合した対策として制限なく使用可能である。
「重曹」「食酢」については、別表2に記載があり、かつ特別な基準が記載されていないことから、食酢であれば合成酢であっても使用できる。(但し、食酢に食酢以外を混合した「あわせ酢」は「食酢」に該当しない)
(2) 特定防除資材の評価中の資材
有機JAS規格においては、特定防除資材になるかどうかの評価中の資材(例:木酢液)は防除目的では使用できないものとされているが、別の効果を目的とした使用については、別表1の「その他の肥料及び土壌改良資材」(以下、「その他資材」と記載)で判断する。
別表1のその他資材の基準中、「かつ、病害虫の防除効果を有することが明らかなものでないこと。」と記載されているのは、農薬を別表1で使用してはいけないが、逆に特定防除資材の評価中の資材は、防除効果が公式に認められていないものであるから、別表1で評価してもよいと解釈できる。
2.2. 収穫、輸送、選別、調製、洗浄、貯蔵、包装その他の収穫以後の工程に係る管理において使用される資材の適合性判断基準
2.2.1.JAS規格記載事項
JAS規格第4条には次のように定められている。
2 有害動植物の防除又は品質の保持改善は、物理的又は生物の機能を利用した方法(組換えDNA技術を用いて生産された生物を利用した方法を除く。以下同じ。)によること。ただし、物理的又は生物の機能を利用した方法のみによっては効果が不十分な場合には、以下の資材に限り使用することができる。
(1) 有害動植物の防除目的:別表2の農薬及び別表4の薬剤(ただし、農産物への混入を防止すること。)
収穫後の工程においても、薬剤を使用しない方法での管理が原則であるが、効果が不十分な場合は、上記のとおり、有機農産物の別表2の農薬及び別表4の薬剤が使用可能である。
有機農産物の別表2のうち、保管施設で使用されることを条件とする資材に、二酸化炭素くん蒸剤、ケイソウ土粉剤(2.1.2(2)参照)がある。有機農産物の別表2は、農薬取締法に準拠した資材であるので、使用にあたって、収穫物に接触することを前提とした資材である。但し、「農産物への混入を防止すること」の規定があるので、ケイソウ土粉末は、使用後除去される必要がある。
別表4の薬剤は、施設におけるそ族・昆虫対策のための資材として使用されるものである。これらの資材は、収穫物に接触することは認められない。
2.2.2.主な資材
別表2および別表4に記載されている資材のうち、一般に使用が見かけられるものについて、その確認の方法を次ページに記載する。
2.2.2.1. 農薬(別表2)
表2-1 主な害虫等対策資材(別表2)
資材
基準
確認の方法
除虫菊乳剤及びピレトリン乳剤
除虫菊から抽出したものであって、共力剤としてピペロニルブトキサイドを含まないものに限ること
左記を説明する資材製造者からの文書を入手できるもののみ使用可。
重曹、二酸化炭素くん蒸剤、ケイソウ土粉剤
保管施設で使用する場合に限ること。
特に条件がないので、防虫防鼠目的で使用可能である。
上記以外の別表2掲載資材については、別表2の基準に記載されている内容を満たした資材及び使用方法であることを確認する。
2.2.2.2. 薬剤(別表4)
表2-2 主な害虫等対策資材(別表4)
資材
基準
確認の方法
除虫菊抽出物
共力剤としてピペロニルブトキサイドを含まないものに限ること。また、農産物に対して病害虫を防除する目的で使用する場合を除く。
左記を説明する資材製造者からの文書を入手できるもののみ使用可。
ケイ酸ナトリウム
農産物に対して病害虫を防除する目的で使用する場合を除く。
カリウム石鹸(軟石鹸)
農産物に対して病害虫を防除する目的で使用する場合を除く。
エタノール
農産物に対して病害虫を防除する目的で使用する場合を除く。
左記は使用方法についての条件であり、農産物に対する除菌などの目的では使用できないことを注意喚起する。
ホウ酸
容器に入れて使用する場合に限ること。また、農産物に対して病害虫を防除する目的で使用する場合を除く。
左記は使用方法についての条件であり、使用にあたって注意喚起する。
フェロモン
昆虫のフェロモン作用を有する物質を有効成分とする薬剤に限ること。また、農産物に対して病害虫を防除する目的で使用する場合を除く。
ここでいうフェロモンは、農場で使用する登録農薬のフェロモンではなく、製造工場で発生する飛翔性昆虫等を誘引するための物質のことを指す。
左記前段の条件に準拠することの資材製造者からの文書を入手する。
左記後段の条件について、当該資材はメイガ等の捕虫を目的とする誘引目的のものであることを商品パンフレット等で確認をする。
カプサイシン
忌避剤として使用する場合に限ること。
また、農産物に対して病害虫を防除する目的で使用する場合を除く。
(注1) ホウ酸、フェロモン、カプサイシン等は、有効成分が化学合成された物質を使用していても、また製造工程で化学的に合成された物質を使用していても差し支えない。
(注2) 「農産物に対して病害虫を防除する目的で使用する場合を除く。」は、農薬取締法において、農薬でないものを農産物に対して病害虫を防除する目的で使用することが禁止されていることから、その旨を規定している。
(注3) 誘引剤や忌避剤として食品及び食品添加物を使用することは可能である。