IPEN世界各地の魚と毛髪の水銀調査2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・表1 9か国で摂取される魚(サンプル数108)の水銀濃度(ppm) 国 潜在的な水銀汚染源 サンプル
数 魚種 平均水銀濃度
(ppm ww *) EPAガイドライン
(0.22 ppm)**超の
サンプル割合
アルバニア 汚染サイト 14 タラ、ヒメジ 0.29 +/- 0.23 50%
チェコ共和国 塩素アルカリ施設 16 淡水ブリーム/コイ 0.43+/- 0.34 88%
イタリア 世界的な堆積 6 ビンチョウマグロ 0.91 +/- 0.35 100%
日本 世界的な堆積 9 クロマグロ 1.12 +/- 0.24 100%
ポルトガル
(アゾレス諸島) 世界的な堆積 2 クロタチウオ 0.75 +/- 0.04 100%
ロシア 塩素アルカリ施設 30 ナマズ, パーチ、コイ 0.44 +/- 0.16 97%
タイ 石炭火力発電所
製紙工場 20 ライギョ 0.34 +/- 0.11 85%
ウルガイ 世界的な堆積 4 メカジキ 1.31 +/- 0.16 100%
アメリカ
(アラスカ) 世界的な堆積 7 オヒョウ 0.37 +/- 0.48 43%
 *ww:湿重量
 **米EPAの参照用量(RfD):1日体重g当りメチル水銀0.0001μg

■世界のホットスポットの毛髪水銀濃度
 表2は、世界的な水銀の堆積、及び3つのタイプの点源、すなわち、人力小規模金採鉱(ASGM)、石炭火力発電所、及び製紙工場、そして複合産業サイト(塩素アルカリ製造、石油精製、廃棄物焼却、セメント製造、及びその他の潜在的な水銀汚染源)からの放出による水銀汚染源を代表する8か国からのヒトの毛髪中の水銀濃度を示しています。

8か国全ての人々の82%以上の毛髪が、米EPAの参照用量(RfD)レベルである1.0 ppmを超える水銀濃度であり、インドネシアのASGMサイトでは、20人の内19人が、日本では東京地域の19人中18人が、そしてタイでは、20人全員が、米EPAのRfDを超えていました。


表2 8か国のヒト毛髪(サンプル数150)の水銀濃度(ppm) 国 潜在的な水銀源 サンプル数 平均水銀濃度
(ppm, fw) EPA参照用量***
(1ppm 超の)
サンプルの割合
カメルーン 複合:セメント、焼却、その他 17 1.9 +/- 1.1**** 76%
クック諸島 世界的堆積 9 3.3 +/- 1.4 89%
インドネシア 人力小規模金採鉱 20 4.3 +/- 3.3 95%
日本 世界的堆積 19 2.7 +/- 1.9 95%
メキシコ 複合:石油ガス精製、
塩素アルカリ施設、焼却 22 1.8 +/- 1.1 73%
ロシア 塩素アルカリ施設 28 1.9+/- 1.5 67%
タンザニア 人力小規模金採鉱 15 18.3 +/- 60.4 67%
タイ 石炭火力発電所、製紙工場 20 4.6 +/- 2.7 100%
 ***:水銀濃度は、式量(fw)ベースで、ppm又は等価のμg/gで与えられる。
 ****:カメルーンからの2つの毛髪サンプルは非常に高く、アウトライアー(外れ値)であるとみなされる。

それらは542 ppm 及び546 である。

■分かったこと

水銀汚染の程度は、世界中の海水と淡水の生態系のどこにでも見られる。
"生物学的水銀ホットスポットは、世界的に共通であり、複数の点源タイプからの大気、土壌、水への人間活動に由来する水銀排出に関連している。
点源タイプは、人力小規模金採鉱(ASGM)、石炭火力発電所、及び製紙工場、そして複合産業サイト(塩素アルカリ製造、石油精製、廃棄物焼却、セメント製造)などである。
世界的な堆積は、上述の複数点源に加えて、石炭燃焼、鉄及び非鉄金属製造、鉱石処理、焼却炉、化学品製造などの複合排出源から大気や水へ放出された水銀が海流により広く拡散されて生じる。
今回分析された世界中の魚のサンプルのほとんどの水銀濃度は、米EPAのガイドライン0.22ppmを超えている。
今回の調査で9か国からの43~100%の魚のサンプルが1種類の魚肉170グラムという魚の月間安全摂取量を超えた。

これらのサンプルに対応する水銀汚染タイプは、塩素アルカリ施設(チェコ共和国、ロシア)、汚染サイト(アルバニア)、石炭火力発電所(タイ)及び世界的堆積(イタリア、日本、ポルトガル-アゾレス諸島、アメリカ-アラスカ、及びウルグアイ)である。
カメルーン、クック諸島、インドネシア、日本、メキシコ、ロシア、タンザニア、及びタイからの毛髪サンプルの82%以上は、1.0ppmという米EPAの参照用量(RfD)レベルを超えている。
インドネシアでは、ASGMサイトの近くでサンプルが収集されたが、一方日本は、19人中18人がRfDレベルを超えており、タイでは石炭火力発電所と製紙工場を含む産業地域の近くで、20人全てが米EPAのRfDレベルを超えた。
これらのサンプルに対応する排出源は、人力小規模金採鉱(インドネシア、タンザニア)、塩素アルカリ製造、石油精製、廃棄物焼却、セメント製造、及びその他の潜在的な水銀点源を含む複合化学産業(カメルーン、メキシコ)、世界的堆積(クック諸島、日本)、塩素アルカリ施設(ロシア)、及び石炭火力発電所と製紙工場(タイ)を含む。
■日本(東京)とクック諸島(ラロトンガ島)の毛髪比較
 魚を多く食する太平洋の二つの国、日本とクック諸島が、非点源、又は世界的堆積に関連する場所として選ばれ、水銀曝露を示す毛髪水銀濃度が比較されました。