原因は殺虫剤か、ミツバチの窮状:2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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◆前例のない危機

 欧米諸国の大規模農業の生産性は、管理されたミツバチに依存している。花粉を運び受粉するという非常に重要な役割を果たしているからだ。

農場から農場にトラックで運ばれる“季節労働者”の貢献度は、食料生産の約3分の1(およそ100の主要穀物)、金額では150憶ドル(約1兆5000億円)以上にのぼる。

 CCDが表面化すると、アメリカ農務省の農業調査局(Agricultural Research Service)と米国食品・農業研究所(National Institute of Food and Agriculture)が共同で研究と対策を開始。

しかし、いまだ決定的な証拠が見つかっていない。

最新の研究は、崩壊したコロニーのハチの内臓に大量の病原体の存在を示している。

おそらく原因はウイルス感染だ。

 ただし、これは原因の1つと考えられている。

ハチの専門家であるメリーランド大学のデニス・ファンエンゲルスドープ(Dennis vanEngelsdorp)氏は、人間のHIVウイルス感染に例える。

「HIVウイルスが直接の原因ではない。免疫力が低下し、肺炎などで死に至る」。

ハチの状況は少し違うかもしれない。

それでも、免疫力が低下し、「病気が転換点になることはまず間違いない」。

 では、ハチが病気にかかりやすくなる原因は? なぜ免疫力が低下するのだろう? これらの問題は未解決で、150憶ドルの食料生産への危機的状況は続いている。

◆殺虫剤の脅威

 EUの対応が示すように、ハチの敵の1つは殺虫剤だ。

しかし直接駆除されるわけでもなく、「適切に使用すればハチなどの受粉媒介者にとっても安全では?」という議論も盛り上がっている。

それでもやはり、間接的な原因としての殺虫剤の影響は確かなようだ。

 例えば、致死量に満たないネオニコチノイドにさらされたハチは、内臓に寄生するノゼマ病に感染しやすくなる。

同系の殺虫剤はEUで禁止される一方、アメリカでは小麦やトウモロコシ、大豆、綿花に常用されている。

 ファンエンゲルスドープ氏によれば、殺虫剤そのものがコロニーの崩壊につながるわけではないという。

ほかの要因と同じく、別の化学物質やストレス因子と組み合わされたときに最悪の働きをする。「相乗効果だ」と同氏は話す。

「ぴったりとはまる要因が2つ組み合わされば、1+1が10になる場合もある」。

そして、免疫力が低下したコロニーは悪循環に陥り、健全であれば問題にならないストレス因子にも立ち向かうことができなくなる。