ハウスダストの組成とPBDEsの粒径分布:代表的な試料を得るために3 | 化学物質過敏症 runのブログ

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図2 分級した粒子状ハウスダストのPBDEs濃度


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粒径別のハウスダスト中のPBDEs濃度を測定したところ、粒子状ダストでは、250~500 µm画分で濃度が明らかに低く、粒径が小さくなるにつれて濃度が高くなる傾向がありました(図2)。

もっとも小さい粒径(<53 µm)では濃度が下がっていたことから、PBDEsの存在量はダスト粒子の比表面積とは必ずしも関連がないことがわかりました。

このことは、ハウスダスト中のPBDEsは、室内にある製品から揮発してダスト粒子にくっついたものだけでなく、PBDEsが含まれる樹脂そのものが細かい欠片(かけら)としてダスト粒子になっている場合もあるためだと考えられます。

繊維状ダストについては、500 µm以下の各画分から検出された濃度は同程度であったことから、同じ起源に由来するものと考えられました。

次に、実際にハウスダスト試料を化学分析する場合、どの粒径でふるい掛けしたものを供試するのが適しているのか調べるため、500 µmもしくは250 µmのふるいを掛けた場合のふるい下のPBDEs濃度を算出しました。

その差を比較したところ、500 µm以下の全試料(粒子状+繊維状)の濃度は250 µm以下の粒子状ダスト試料のみより1~2割低い値を示すことが明らかとなりました。

つまり、250 µm以上の粒径のダストや繊維状物質を含めるとPBDEs濃度を低く見積もってしまう可能性があるということです。

手に付着するダスト粒径が250 µm以下との報告もあることから、ハウスダストに含まれるPBDEsの定量に適した標準的な代表試料を調製するには、開き目250 µmのふるい下に回収されたハウスダスト試料から繊維状物質を除去する方法が適していると考えられました。

粒径ごとの濃度分布は化学物質によって異なることが考えられます。国や地域の生活習慣や住環境の違い(土足かそうでないか、家屋の気密性の違い、など)にもよるかもしれません。

ハウスダストは重要な化学物質曝露媒体の一つであることから、関係者間で共通認識をもつことが急務だと感じています。