・出典:食品安全委員会
http://www.fsc.go.jp/sonota/factsheets.html
フ ァ ク ト シ ー ト
《作成日:平成22 年11 月18 日》
フラン
1 フランとは
フランは、炭素4 つ、酸素1 つを含む5 員環の芳香族化合物※ で、特徴的な臭気のある揮発性の液体です1 ) 2)。
米国食品医薬品庁( FDA)の報告によると、焙煎コーヒー、ベビーフードを含む缶詰・瓶詰食品や、肉や野菜等を加熱加工した食品中に広範囲に含まれていることが確認されています3 )。
(1)性状1 ) 2 )
分子式: C4 H4O
分子量: 68.1
沸点: 31.3 ℃
比重(水= 1):0.94
水への溶解性:溶けにくい
性状:特徴的な臭気のある無色透明の液体で、放置すると茶色に変化する。
CAS 登録番号:110-00-9
(2)食品中のフランの生成
広範囲の食品からフランが検出されており、フランの生成経路は、炭水化物の熱分解といった単一の生成経路ではなく、複数の生成経路があると考えられています。
生成に関与している物質としては、アスコルビン酸とその誘導体※ 、多価
不飽和脂肪酸※、糖類、アミノ酸などが候補としてあげられています4 )。
2 リスクに関する科学的知見
(1)体内動態5 )
食品及び調理による気化などにより摂取されたフランは、肺、腸から吸収されて体内に取り込まれ、肝臓で速やかに代謝されるため、24時間以内にその80%が肺、尿、糞便を通じて体外へ排出され、残りも7日後にはほとんど体内で検出されないと考えられています。
フランは、肝臓においてCYP2E1※によって大部分が炭酸ガスとして代謝され、毒性のある主要な代謝物としては、cis-2-ブテン-1,4-ジアール※が生成されることが報告されています。
cis-2-ブテン-1,4-ジアールは、in vitro ※ではタンパク質及びヌクレオシド※などと不可逆的※に結合し、in vivo ※においてはタンパク質と結合することが報告されています。
※印は文末に用語解説あり 2
(2)毒性
フランに関する入手可能な毒性情報は不十分で、生殖毒性及び発生毒性に関するデータはありません。ラット及びマウスを用いた試験において、肝細胞腺腫※と肝細胞がんの用量依存性※ のある増加が報告されています。
さらに、試験で用いた2 mg/kg 体重/日という低い用量においても、胆管がんが非常に高い頻度で観察されています。
入手可能な全てのデータに基づいてフランの作用機序を2004(H16)年に欧州食品安全機関( EFSA)が検討した結果、フランはおそらく遺伝毒性を持つ発がん物質であろうと報告しています。
しかしながら、細胞毒性及び二次的な細胞増殖が、間接的に発がん作用を増強する可能性があるとも報告されています5 )。
また、FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)が2010(H22)年に実施した評価において、フランはDNA反応性があり遺伝毒性を持つ代謝物を通して作用する発がん性物質としてヒトの健康への懸念が示唆されると報告されています6 )。
さらに、1995(H7)年に国際がん研究機関(IARC) において、マウスとラットを用いた経口投与による発がん性試験の結果から、フランは、「ヒトに対して発がん性の可能性がある( グループ2B)」に分類されています7 )。
分 類 評 価
グループ1
グループ2A
グループ2B
グループ3
グループ4
ヒトに対して発がん性がある。
ヒトに対しておそらく発がん性がある。
ヒトに対して発がん性の可能性がある。
ヒトに対する発がん性について分類できない。
ヒトに対しておそらく発がん性はない。
runより:私がフランに危険を感じたのは2 リスクに関する科学的知見(1)体内動態5 )の部分です。
肺から侵入、肝臓での分解と化学物質過敏症患者の問題点に直結するからです。