・21.5 第四のハーデル・グループ研究?2010 年
旧スウェーデン放射線防護協会(現在のスウェーデン放射線安全庁)に委託された論評で、死亡した症例の除外は、ハーデル・グループ研究の偏りの原因だと示唆された(Boice とMcLaughlin,2002)。
この示唆の科学的根拠は示されなかった。
その批評への反応として、第四の研究が行われた。
これは1997~2003 年の症例対象研究に参入する前に亡くなった悪性腫瘍の症例を含む。
これらの症例は、主に星状膠細胞腫の悪精度Ⅳ度の腫瘍で、予後の乏しい患者を表した。
対照はスウェーデン死亡記録から選ばれた。
二つの対照群が含まれた。
一つは脳腫瘍以外の他のタイプの悪性腫瘍で死亡した対照群に一致し、もう一つはがん以外の病気で死亡した対照群だ。
症例と対照の両方について、スウェーデン国税庁のスウェーデン人口登録を通じて確認された。
本研究は、悪性腫瘍で死亡した464 人の症例群と464 人の対照群、他の原因で死亡した463 人の対照群を網羅する。
過去の研究と同様の質問票が使用され、それぞれの死亡症例群と対照群の近親者へ送られた質問表で、被曝が評価された。
返信は、症例で346(75%)、がん対照群で343(74%)、他の死因の対照群から276(60%)通得られた。
携帯電話の使用はリスクを増やし、10 年以上の潜伏期間で最も高く、オッズ比は2.4 倍(95%CI=1.4-4.1)になった。
リスクは生涯使用時間の累積とともに増加し、2000 時間以上のグループでOR3.4 倍(95%CI=1.6-7.1)と最も高くなった。
コードレス電話の使用について明確な関連性は見られなかったが、累積使用2000 時間以上のグループで1.7 倍のオッズ比(95%CI=0.8-3.4)が見られた。
この調査は、携帯電話と悪性脳腫瘍の関連性についての過去の結果を裏付けた(Hardell 等、2010)。
ボイス[Boice]とマックロウグリン[McLaughlin]による批判は科学的根拠が無い、と結論が下された。