2007年4月の総務省報告にみる過敏症研究 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・出典:BEMSJの「電磁波(電磁界)の健康影響」講座
http://homepage3.nifty.com/~bemsj/index.htm
2007年4月の総務省報告にみる過敏症研究

平成19年4月27日発表の総務省「生体電磁環境研究推進委員会報告書」にみる電磁波過敏症関係の研究
この報告書に中に、「2.2.1.2 携帯電話基地局からの電波による症状に関する研究」という項目がある。
一部を引用して紹介する。


(1)研究課題選定の背景
多くの人と違い自称電磁過敏症という人は、フィンランドの一般人口を対象とした研究では、全体の約1.5%に当たるとされている。

と、「自称電磁波過敏症」という表現が用いられている。

(2)研究の目的・概要
本研究では、電波に対して過敏性がある方ではなく、携帯電話基地局・携帯電話端末使用により通常でない症状を呈する方(携帯電話に関連した症状を出す方:Mobile Phone Related Symptoms(以下、「MPRS」という。))の一般人口における実態を把握することと、電話により症状を呈するとはいったいどういう現象か、症状のあるグループと症状のないグループでの差異は何かを検討する事を目的とした。

電磁波過敏症と言っている人ではなく、一般の公衆の中から、携帯電話に関連した症状を持っていると答えた方と、症状はないと答えた方を対象として研究を行っている。

② 電波ばく露実験の方法
ア 電波ばく露装置の開発
図2.2.1.2.2にばく露システムの概略図を示す。本ばく露システムは人体に2GHz帯W-CDMA方式の電波を10V/mの強度で照射するためのものである。
(略)
また、どの条件のばく露を行っているかを検者・被験者ともにブラインドにして、最後の解析までブラインドを維持することとした。

ブラインドでのテストを行っているので、正しい研究手法といえる。

② 電波ばく露実験の結果
(略)
イ 主観的評価による電波感知の正解率
被験者が電波の有無を正確に感知出来たかを調べる目的で、間欠ばく露条件での電波ばく露に関する回答の正解率を、コントロール群とMPRS群で比較した。
コントロールの正解率52±8%、MPRS群は49±5%であり、両者で差がなかった。
この値は、全く電波を感知できず、すべての時に電波を感知しないと答えたときの正解率50%とほぼ同じであった。

携帯電話の電波を感知することはできなかった という結果である。

(5)結論及び今後の課題
(略)
今回の結果を全体としてまとめると、電波と無関係に、MPRS群はコントロール群より、施行中の違和感・反応時間の遅れなどを呈したということになる。
すなわち、MPRS群は特に電波を感知しているとは限らず、タスク施行などというストレスに影響を受けやすいということが示唆された。

今回の我々の結果はこれまで報告されている一部の結果と一致しており、オランダで最初に報告された携帯電話基地局からの電波が反応時間に影響したという報告[Zwamborn, Vossen, et al, 2003]の再現実験でも、有意な差異はなかったとされていて[Regel, Negovetic, et al, 2006]、今回の研究結果はこの所見と一致する。

少なくとも、今回の研究結果では、いわゆる携帯電話基地局・端末で症状が出現したと訴えている方の訴えが電波により生じているという証拠は見出せなかった。

むしろ、MPRS群の方々は他の多くのストレスに弱い傾向があるのかもしれないという結果を得た。

この結論は携帯電話端末から発生する電波に関するHietanenら(2002)の結論と一致している。MPRS群の人数が少ないということもあり、確実な結論とはいえないが、現在のところ、携帯電話基地局・端末使用に伴い発生する健康障害に関係するMPRSが、電波ばく露と関連があるとの証拠は得られなかった。


関心のある方は、総務省のWEBにあるこの報告書をダウンロードして読んでください。
電磁波過敏症に関しては、20ページ程度の分量です。


runより:残念ながら総務省にこの報告書はもうありませんでした。

次は2007年の総務省「生体電磁環境研究推進委員会報告書」に対する化学物質問題市民研究会からの質問を掲載します。