・msn産経ニュースより
中国の大気汚染は国土の4分の1、6億人に影響 環境保護省
2013.2.4 19:41 [環境・エコ]
【北京=川越一】中国環境保護省は4日、1月中旬から発生した有害物質を含む濃霧が国土の4分の1に及び、約6億人に影響を及ぼしたことを明らかにした。
2月10日の春節(旧正月)を控え、花火や爆竹による大気汚染の悪化が懸念される中、同省は監視・管理体制の不備を認めたうえで、改善措置を講じていくことを強調した。
同省は1月24日に全国環境保護工作会議を開催。
会議から1週間以上経過した4日になって、周生賢環境保護相が会議で行った講話の内容を公表した。
それによると、大気汚染の被害は北京をはじめ全国17の省、直轄市、自治区に広がった。
70%の都市で大気が環境基準を満たしていない。
共産党指導部は改革・開放以降、経済発展を最優先させてきた。
周氏は「長期にわたって蓄積してきた環境の矛盾が集中して現れている」と指摘。市民生活に欠かせない飲用水にも汚染が広がっているという。
昨年は、有害な化学物質を排出する工場の建設などをめぐり、中国各地で大規模な抗議行動が発生するなど、健康よりも生活費を稼ぐことを重視してきた国民も、環境リスクに関心を示し始めている。
特に突出しているのは健康被害を懸念する声だ。直径2.5マイクロメートル以下の微小粒子状物質「PM2.5」は肺がんを増加させると指摘されている。
日本の基準値の25倍となる大気1立方メートル当たり900マイクログラムを記録した北京では、ここ10年で肺がん患者が60%増加したとの統計が示されている。
同省は2015年までにPM2.5の濃度を5%下げるとしている。
そのためには排ガスや工場の煤煙(ばいえん)、石炭の利用などを抑える必要があるが、習近平指導部が掲げる「20年までの所得倍増」を達成するには、産業活動を鈍化させかねない措置は取りにくい。