薬物過敏症とは3 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・診断

診断は,薬物投与後,数分から数時間のうちに反応が生じる場合に示唆される。

しかしながら,多くの患者ははっきりしない性質の過去の反応について報告する。

その場合,同等な代用薬(例,梅毒治療におけるペニシリン)が他になければ,検査が考慮されるべきである。

皮膚試験: 即時型(IgE媒介性)過敏性の試験は,βラクタム系抗生物質,ヒト以外の血清(異種血清),ならびにいくつかのワクチンおよびポリペプチドホルモンに対する反応を診断するのに有用である。

しかしながら,典型的には,ペニシリンアレルギーを訴える患者で皮膚試験陽性を示すのは10~20%にすぎない。

また,ほとんどの薬物(セファロスポリン系を含む)の皮膚試験は信頼できず,IgE媒介性反応を検出するにすぎないため,麻疹状の発疹,溶血性貧血,腎炎の発現を予測するものではない。

即時型過敏反応の既往がある患者にペニシリンを使用する必要がある場合は,ペニシリン皮膚試験が必要である。

ヒスタミンおよび生理食塩水を対照として,BPO-ポリリジン結合物およびペニシリンGが用いられる。

まずプリック法(アレルギー性およびその他の過敏性疾患: 特異的検査を参照 )が用いられる。

患者に重度で強烈な反応の既往がある場合,初回の試験では試薬を100倍に希釈すべきである。

プリック試験が陰性ならば続いて皮内試験を行う。

皮膚試験が陽性なら,ペニシリンによる治療はアナフィラキシー反応を誘発する可能性がある。

試験が陰性なら重篤な反応が起こることは少ないが,起こらないということではない。

ペニシリン皮膚試験が患者に新たな感受性を誘導した例はないが,通常は,不可欠なペニシリン療法を開始する直前にだけ,患者を試験すべきである。

異種血清の皮膚試験では,アトピー性でなく,かつ以前にウマ血清を投与されたことがない患者にはまず1:10溶液でプリック試験を行うべきであり,この試験で陰性ならば1:1000溶液0.02mLを皮内へ注射する。

感受性のある患者では,直径0.5cmを超える膨疹が15分以内に現れる。

以前に血清を投与されたことがある患者は過去の反応の有無を問わず全員,および疑わしいアレルギー性の病歴がある患者は全て,まず1:1000溶液で試験されるべきである。

陰性結果はアナフィラキシーの可能性を除外するが,その後の血清病の発生を予測するものではない。

その他の試験: 薬物誘発試験では,過敏反応を急激に引き起こすために用量を増量しながら原因と疑われる薬物が投与される。

この試験は,管理された状況で実施されるならば安全で効果的である。

血液学的薬物の反応試験には,直接および間接抗グロブリン試験がある(溶血による貧血: 診断を参照 )。

他の特異的な薬物過敏性の検査(例,RAST,ヒスタミン放出,好塩基球または肥満細胞の脱顆粒,リンパ球転換)は信頼できない,または実験段階である。


予後と治療

過敏性は時間とともに減弱する。アレルギー反応の1年後には患者の90%にIgE抗体が存在するが,10年後では約20~30%にすぎない。

アナフィラキシー反応を経験した患者の方が,原因薬物に対する抗体をより長く保持しやすい。

薬物アレルギーのある人は薬物を回避することについて教育を受け,本人証明付きのブレスレットまたはアラートブレスレットを携行すべきである;病歴はいつでも適切に明示しておくべきである。

治療は関与する薬物を中止することであり,ほとんどの症状および徴候は該当薬物の中止後,数日以内に消失する。

急性反応に対する支持療法は,かゆみに対する抗ヒスタミン薬,関節痛に対するNSAID,重度の反応(例,剥脱性皮膚炎,気管支痙攣)に対するコルチコステロイド,アナフィラキシーに対するエピネフリンを含む。

薬物熱,かゆみのない皮疹,または器官系の軽度の反応といった症状には治療の必要がない(特定の臨床反応の治療については,本書の他の個所を参照すること)。

脱感作: 感受性が確認されており,治療が不可欠で他に選択肢がないならば,急速脱感作が必要だろう。

可能であれば,脱感作はアレルギー専門医と連携して行うべきである。

この手法は,スティーブンス-ジョンソン症候群の既往がある患者においては試みるべきでない。

脱感作を行う場合は必ず,アナフィラキシーに対する迅速な治療のために,O2,エピネフリン,および蘇生設備を使用できる状態にしておく必要がある。

脱感作は,薬物の治療用量に暴露する前に,無症状性のアナフィラキシーを誘発するわずかな用量から始め,30分毎に漸増投与することを基本とする。

この手順は,血清中の持続的な薬物の存在に依存するため中断してはならず,脱感作に続いて直ちに十分な治療用量を投与する。

過敏性は通常,投与中止の24?48時間後に戻ってくる。脱感作中の軽度の反応(例,かゆみ,発赤)は一般的である。

ペニシリン脱感作では経口または静脈内療法が使用され,皮下または筋肉内療法は推奨されない。

皮内試験のみが陽性ならば,100単位(またはμg)/mLを50mLバッグで(計5000単位),最初は非常にゆっくりと静脈内に投与すべきである。

症状が何も現れなければ,20?30分後にバッグがからになるまで流速を徐々に上げてよい。

その後1000および10,000単位/mLの濃度でこの手順を繰り返し行い,続いて十分な治療用量を投与する。

何らかのアレルギー症状が現れる場合は流速を下げるべきであり,患者には適切な薬物治療を行うべきである(上述参照)。

ペニシリンのプリック試験が陽性だったならば,または患者に重度のアナフィラキシー反応の既往がある場合は,初回量を減らすべきである。

経口ペニシリンの脱感作は100単位(またはμg)から始めて15分毎に2倍に増量し,400,000単位に至るまで(13回)投与する。

その後ペニシリンを非経口的に投与し,症状が起これば適切な抗アナフィラキシー薬で軽減する。

トリメトプリム/スルファメトキサゾールおよびバンコマイシンでも,ペニシリンと同様の脱感作療法が用いられる。

異種血清に対する脱感作: 異種血清に対する皮膚試験が陽性なら,アナフィラキシーの危険性は高い。

血清療法が不可欠ならば,治療の前に脱感作を行う必要がある。

段階希釈して調整した低濃度の溶液を用いて皮膚試験を行い,脱感作に適切な初回量(すなわち,陰性またはごく弱い反応を示す濃度)を決定する。

この溶液0.1mLを皮下に,またはゆっくりと静脈内に注入する;静脈内経路は標準的ではないが,医師が濃度および注入速度を制御できる。

15分以内に何の反応も起こらなければ,用量を15分毎に2倍に増量し,無希釈の血清1mLに至るまで投与する。

同じ用量を筋肉内投与し,もう15分たっても何の反応も起こらなければ,十分な用量を投与してよい。

反応が起こっても,なお治療は可能かもしれない;用量を減らし,急性じんま疹には抗ヒスタミン薬を投与し,それから,増加分をより少なくして投与量を増量させる。

最終改訂月 2005年11月

最終更新月 2005年11月


runより:もうこの時点で化学物質過敏症と併発した薬物過敏症とは別物だと思います。

化学物質過敏症には薬物を嫌う性質があるからなんですが・・・

それはまた後ほどです。