化学物質過敏症と似た病気:慢性疲労症候群5 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・内分泌の異常に関する研究 [編集]

CFS患者の発症前の状態として広く報告されている、トラウマ・感染・負傷などによる「物理的もしくは精神的なストレス」は、視床下部-下垂体-副腎系(HPA系)を活性化し、コルチゾール等の「ホルモン」の放出を促進させ、「免疫系」等の多くの体のシステムに影響するとされる。

コルチゾールとは、ストレスを受けた時に身体の防衛反応が働き、脳視床下部からの指示で副腎から分泌されるホルモンである。

その他の研究においても、CFS患者や、線維筋痛症等のCFSと関連する疾患に、類似のホルモン異常がみられており、コルチゾールは、炎症や細胞性免疫の活性化を抑制する作用を持っているとされ、コルチゾールレベルの低下は、炎症プロセスや免疫細胞の活性化につながると考えられている。

また、運動後のコルチゾールに関連した炎症反応を起こす遺伝子発現の異常もみられ、診断法に用いられる可能性がある。

なお、CFS患者はコルチゾールレベルが低下していることが明らかとなっているが、免疫学データによると、CFSにみられるコルチゾールレベルの変化は、正常と認められる範囲内であり、患者群と健常者群の平均値を比較することで、初めてその違いを見ることがでる。

すなわち、コルチゾールレベルをCFS患者の診断方法として用いることはできない。

また、TGF-βの産生異常により、神経ホルモンDHEA-Sの低下・アシルカルニチン異常・グルタミン酸・γ-アミノ酪酸 (GABA) の産生低下が起こっていると考えられている。

患者の約半数の血液中に、自己免疫疾患の患者の血液中だけにみられるCHRM1(ムスカリン1型アセチルコリン受容体)抗体という特殊たんぱくが見つかっており、その他 OPRM1(オピオイドμ受容体)、 HTR1A(セロトニン1A受容体)、DRD2(ドーパミンD2受容体)も血液中に存在する患者が存在する。

アセチルコリン受容体に対する自己抗体は、重症筋無力症と関連があり、CHRM1が血中に存在する患者は脱力感・思考力低下の症状が強い。

神経学的な異常に関する研究 [編集]

CFS患者で、脳内の神経細胞の活動性が下がっている部位が幾つかある患者が居る。

前頭前野(ブロードマン24,32,33と9/46d野)の部位に限定してのアセチルカルニチン取り込みが低下しており、この前帯状回の神経細胞は、自律神経系の中枢部であり、グルタミン酸などの合成が上手く行われていない可能性があり、このことにより自律神経系の諸症状がでることにつながっていると考えられている。

また、血中アセチルカルニチンの濃度低下により、倦怠感・思考力・集中力の低下なども引き起こす原因とされている。

また、ポジトロン断層法 (PET) による脳の血流を調べたところ、前帯状回・眼窩前頭野(意欲やうつ状態と関係している)・背外側前頭前野(新しい計画を立てたり新たな行動の意欲と関係)・側頭葉(記憶に関連している)・後頭葉(視覚と関連)・脳幹部(意識を調節する部分や筋肉との共同運動を調節し、呼吸・心拍・体温調節などの基本的な生命現象の中枢)などの血流が大幅に低下し、神経細胞の活動レベルが下がっている患者が見つかっている。一部の患者の不定愁訴はこれらによるものと推測できる。

感染症に関する研究 [編集]

CFSにおいて、感染症を原因とした毒素が関連しているのではないかという研究がされている。

日本では、ほとんど行われていない。

一般培養での検出が不可能な、偏性細胞内寄生体(リケッチア等)や、 感染後、血液所見にほとんど変化をもたらさない百日咳(Bordetella pertussis)等の、多数の毒素(Bordetella pertussisでは7種の毒素が判明している)を生産する細菌群が上げられる。

病名呼称各種 [編集]
慢性疲労症候群(CFS) 1988年に、CDCにより名付けられた病名。アメリカ・日本等ではこの呼称は利用されている。

しかし重傷度が伝わらない[5]等の理由により、多くの患者・医師等は改名を望んでいる。

筋痛性脳脊髄炎(ME) 1938年から医療文献に記されている。

1988年に、イギリス衛生省・英国医療協会により、公的にMEを真に存在する・重症の病気であるとした。

脳脊髄炎と名前に含まれているが、炎症がないから不適切だと主張するものもいるが、患者に炎症が見つかっているケースがある。

イギリス・カナダ等では、CFSよりMEという呼称が利用されている。

慢性疲労免疫不全症候群(CFIDS) アメリカや日本等の患者団体が、慢性疲労と間違われやすい・重症度が伝わらないということで提案している病名。

慢性活動性EBウイルス感染症(CEBV) ヤッピー・フルー 「裕福層のインフルエンザ」を意味する蔑称である。

1990年のニューズ・ウィークの記事で取り上げられた。裕福層にCFS患者が多く、仮病・バーンアウト症候群だと思われていたからである。

現在では、裕福層だけに発症するわけではなく、あらゆる階級・人種に発症することが分かっている。

この呼称は、世にCFSを精神疾患・怠惰なだけだという偏見を生み出してしまった。
他の疾患とCFSの鑑別・関連 [編集]

アメリカン・ファミリー・フィジシャン in 2002によると、いくつかの病気とかなりのオーバーラップがみられる。

多発性硬化症(MS),甲状腺病,貧血,糖尿病などとは、その病気にふさわしい症状があれば、CFSから除外されるとある[6]。
1.うつ病 : CFSとうつ病とのオーバーラップが指摘されており、CFSという疾患概念そのものの存在に疑義を投げかける見解もあるが、CFS患者の体内では、コルチゾール・バソプレッシン等のホルモン量が少ないこと・運動・精神活動後に著しく疲労を感じる・buspirone負荷試験でセロトニン受容体の上方調節が認められない・MHPGが減少している・発症年齢が20代~40代という若い年代に多い・患者の2/3が女性・睡眠時の脳波異常・喉とリンパ節の腫れがある・罪業妄想がない・感染症で集団発生する・突如発症することが多いなど、うつ病とは異なる病態であることを示している。しかし、反応性のうつ病との合併例は多い。
2.線維筋痛症(FMS): CFSの症状と同様の症状 筋肉痛・疲労・睡眠障害等がある。

CFSとの合併例が非常に多い。CFS・FMS両方同様の病気として扱う医師もいる。
3.化学物質過敏症(MCS): 患者は、化学物質に過敏に反応し、睡眠障害がある。
4.湾岸戦争症候群(GWS): 症状はCFS患者の症状と酷似している。

劣化ウラン弾・化学兵器・マイコプラズマ・神経症などが原因ではないかといわれている。

患者の約半数に、マイコプラズマの抗体が見つかっている。
5.伝染性単核症:伝染性単核症発症からの6ヶ月、12ヶ月、24ヶ月間中、約13%、7%、4%の患者がCFSを発症するが、ほとんどの患者は時間と共に回復する。(調査対象301名、12~18歳)[7]
6.ライム病
7.過敏性腸症候群(IBS)
8.多発性硬化症(MS)
9.膠原病
10.甲状腺機能低下症
11.後天性免疫不全症候群(AIDS)
12.慢性閉塞性肺疾患(COPD)
13.身体表現性障害
14.不安障害
15.セリアック病
16.神経衰弱

治療法 [編集]

心身共に休養させる必要がある。

薬剤に関しては、漢方薬(補中益気湯・人参養栄湯・十全大補湯・六君子湯等)・ビタミンC・メチコバール・抗うつ薬・免疫グロブリン。

眠剤等の処方・認知行動療法・段階的行動療法・ペイシングなどで多少の効果が見られる場合があるが、特効薬は見つかっておらず、長期に渡って苦しみ続けている患者は今なお多い。

多くの治療法があるが、ほとんどの治療法に限界はある。

重要なのは、PS値や患者の体質によってその効果は異なることで、場合によっては良い効果がみられることがある。

治療法の中には、未確認であり、悪影響が考えられるケースもあるので慎重に選択する必要がある。

非薬理療法 [編集]
認知行動療法 CFSについて知ることは、治療における重要な要素である。

これは、病気を悪化させると思われる活動や行為を、どのように調整したらいいのか学ぶことである。

こういった知識を学ぶ正式な方法は、認知行動療法と呼ばれており、患者は疾患への対処がより容易になり、新たな症状を誘発することなく、活動量を増すことができるようになることが知られている。

また、家族も教育を受けることで、良好なコミュニケーションを保つことができるようになり、CFSが家族に与える種々の悪影響を軽減できるとされる。 ストレスの回避 一般的に最も有益な方法は、患者が肉体的/精神的ストレスを避けて心身共に休養させることである。

実際にストレスにより、短期/長期にわたる深刻な病状の悪化が多くみられ、多くの患者が初期段階でもっとストレスを避けることができていたら、これほど症状が重くならなかったのではないかと考えている。

原因諸説に記載されているように、CFSは「トラウマ、感染、負傷などによる身体的・精神的なストレス」によって起こる、免疫系、内分泌系の異常や脳・神経系の機能障害といった身体的な異常によって極度に疲労するとされている。

適度な運動は、肉体的、精神的健康を保つとされる。

それは、CFS患者も例外ではないが、運動の量と運動をやめる時期に注意を払うことが重要である。

最も重要な点は、どのような程度の運動をおこなうにしても、疲労レベルを増加させないよう患者個人にあったレベルの範囲内に抑えることである。

ヨガ・太極拳等も効果のある場合がある。

しかしながら、無理をすると、疲労や痛みが増し、逆効果となる場合がある。

また、PS値の高い重症患者は軽度の運動も出来ないため、運動療法が行えないケースもある。

温熱療法 新陳代謝を促し、筋肉の緊張をほぐしたり、血流を良くして免疫を高める効果がある。

温灸・入浴など。入浴は体力にあった範囲内にすること。

PS値が高く入浴できない患者には、短時間で入る半身浴、足湯などがある。
薬理療法 [編集]

薬物療法は、個々の患者に特有の症状群を軽減するためのものである。CFS患者は、多くの薬剤に対して過敏であることが多く、中でも中枢神経系に作用する薬剤で顕著である。

したがって、一般的な治療指針としては、極低用量から始め、必要性や耐量にあわせて、徐々にその量を増すのが良いとされる。

また、患者によって効果は異なることや、副作用がある薬もあるので患者の体質や症状から慎重に選択することが望まれる。
漢方薬 補中益気湯は補剤と呼ばれており、病後や術後の免疫低下や、微熱・全身倦怠感などにCFSの症状に似ている症状の場合処方されており、患者の4割に有効とされている。

なお、CFS患者において証は一定の傾向を示さないため、「証」の分類、及びその見立てに従った本格的な漢方治療の研究が名古屋大学にて行われている。

非ステロイド系抗炎症剤 これらの薬は、CFS患者に痛みがある場合にその症状を軽減するために用いられている。

低用量三環系抗うつ剤 三環系の薬は、睡眠の改善や軽い全身疼痛の軽減を目的として処方される。

他の抗うつ剤 非抑うつCFS患者に、SSRI(セロトニン再摂取阻害剤)を投与したところ、治療効果がみられたとの報告がいくつかなされている。

CFS患者の中には、うつ症状のある患者も一部みられ、この治療に対しては、より新しい抗うつ剤の処方が行われている。

Fluoxetine(Prozac)、Sertraline(Zoloft)、Paroxetine(Paxil)、 Venlafaxine(Effexor)、Trazodone(Desyrel)、Bupropion(Wellbutrin)などがある。

効果には個人差があり、また程度の差はあるものの、興奮、睡眠障害、疲労増加など、副作用がある。

抗不安剤 CFS患者の不安症状に対しては、抗不安剤が処方される。

抗菌剤、抗ウイルス剤 近年、この治療は行われなくなってきている。抗ウイルス剤アシクロビルを使った対照試験では、CFS患者には効果がみられていない。

まれに患者の中には感染症の症状を併発しているケースがあり、この場合を除いてCFSの治療として処方されるべきではないとされている。

抗アレルギー治療 CFS患者の中には、アレルギーの病歴を持っている方がおり、周期的に、それらの症状が表れる場合がある。

非鎮静抗ヒスタミン剤は、こういったアレルギーを持つCFS患者に有効とされる。

アンプリジェン アンプリジェン投与群は、プラセボ群に比べて認識力/行動力に中度の改善がみられたと報告されている。

しかし、これらの予備研究の結果は、さらなる確認が必要とされる。

なお、現段階では認可されていない薬である。

その他(ビタミン、補酵素、ミネラル、健康食品、芳香療法、鍼灸など) ビタミンC (アスコルビン酸)を大量(1,000mg 毎食後)を服用することにより、活性酸素を除去し、組織障害を減少させることができ、微熱が軽減する例がある

ビタミンCは酸性であり、大量に服用すると胃を痛めることがあるので、セルベックス等の胃薬を併用する。 メチコバール (毎食後 1,000μg)は、ビタミンB12であり、元来、末梢神経炎の治療薬として用いられていたが、睡眠障害にも有効であると報告があり、脱力感・疲労感を軽減し、思考力を回復する例がある。

代替医療 コエンザイム、カルニチン、NADH、必須脂肪酸、リンゴ酸、マグネシウム等のサプリメントで症状が緩和することもあり、自律神経系の乱れには、緑の香りのアロマテラピーが効き、脳の疲労が軽減する。

鍼灸療法では鎮痛効果や筋肉の緊張を緩め血行を促進させる効果がある。

また、加工食品の扱いになるが、反鼻(マムシの肉)・蝮胆(マムシの胆嚢)には、セロトニン前駆物質トリプトファン・各種ビタミン・ニコチン酸などが含まれているためそれらの相乗効果により単体でそれぞれを摂取するよりも症状を緩和させる場合がある(マムシ丸ごと一匹のものとは性能が異なるため注意)。

抗疲労物質 アミノ酸、クエン酸など。

鶏むね肉には抗疲労効果が期待されているカルノシンとアンセリンが豊富とされる。