脅かされる生物多様性 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・出典:ネオニコチノイド系農薬中止を求めるネットワーク
http://no-neonico.jp/
・◆ネオニコチノイド系農薬・殺虫剤が脅かす、生物多様性

世界中で報告されている、ミツバチの大量死や減少。

CCD(蜂群崩壊症候群)と呼ばれるこの現象の直接的な原因とみられており、ヨーロッパ諸国で対策が見られるネオニコチノイド系農薬。

ネオニコチノイド系農薬は、ミツバチだけでなく、その水溶性と残効性で土壌や河川を汚染し、そこに生息する多様な生物にも深刻な影響を与えます。
 
水田には昆虫だけでも1000種類以上が生息しており、食物連鎖によって複雑に結びついて保たれています。

農薬は、病害虫だけでなく、そこに生息する多様な生物にも影響を与えます。農村では既に多種類の農薬が使われてきましたが、ネオニコチノイド系農薬は更にその危害を加速すると考えられます。

農薬によって生物の個体数が減ったり絶滅したりすれば、食物連鎖を通じて他の生物も減少したり絶滅したりして、多様性が貧弱な生態系になってしまうのです。

◆このままミツバチがいなくなると、どうなる?

ミツバチの役割
ミツバチは、幼虫の餌として蜜や花粉を集め、その過程でオシベの花粉をメシベに運び受粉を行うポリネーター(花粉媒介者)。
ミツバチは農業、自然界での3つの重要な役割を果たしています。

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●野菜や果物が食卓から消える? ― 農作物の受粉(交配)
 
食用植物の約80%がミツバチの恩恵を受けています。
農業現場では、イチゴやブドウなどの果物や、トマト、ナスなどの野菜の果実を実らせるための受粉や、翌年の種子確保のための受粉を、主としてミツバチに依存しています。万一ミツバチがいなくなれば、蜂蜜はもちろん、多くの食物が食卓から消え、農業は壊滅的な被害を受けることになるでしょう。

●植物の数が減る? ― 樹木や野の花の受粉
自然界では、花の咲く植物のほとんどが野生のミツバチなどのポリネーターに頼って種子をつくり、次世代を残しています。

CCDについて多くの人が注目するようになったきっかけでもある「ハチはなぜ大量死した(邦題)」「Fruitless Fall(原題)」(ローワン・ジェイコブセン著)によると、「私達が地球を共有する25万種の植物のうち、4分の3は野生の花粉媒介者の手を借りて繁殖している。」ミツバチは受粉によって植物の多様性を維持し、森林や里山などを豊かで安定した生態系に保つ役目を果たしています。

●ミツバチは指標生物 ― 環境の異変を警告する
環境の悪化を知らせる生物を指標生物といいます。
 
ミツバチは指標生物。女王蜂を中心とする社会生活を営み、必ず帰巣するので個体数の増減がわかります。現在、ミツバチに起こっている世界的な異変は、生態系の重大な異変を知らせる警鐘でもあります。

◆昆虫が激減する全国の事例

ダントツ大量散布で昆虫がいなくなった長崎
(長崎在住 養蜂家久志冨士男さんの話)
長崎県では、一昨年あたりから安価で労力のかからないネオニコチノイド系農薬を推奨、農協がダントツの使用を奨励し、いたるところで大量に散布させてきました。
その結果、虫がいなくなりました。

ミツバチと農薬の話にとどまりません。

そのことを自分の足で回り調査しました。車で高速道路を走っても、フロントガラスに一匹の虫もつきません。夜道の自動販売機の灯りにもです。
それに対し、ダントツを撒いたことがない壱岐の自動販売機には昆虫が集まって、ガラス窓にもついていました。

空撒では、通常の200倍以上の濃度の農薬を使用します。
また農薬以外にも、的山大島では、松くい虫駆除のため、ネオニコチノイド系農薬の空撒を行いました。

空撒2日後、海岸には大量のフナムシの死骸がありました。昆虫もツバメもいなくなり、付近の牛が流産するようになりました。

詳細:ダイオキシン国民会議ニュースレターVol.64「久志冨士男/ネオニコチノイド農薬による昆虫と鳥類の消滅 」
 

ダントツ国内出荷量1位の北海道で昆虫激減
(北海道養蜂協会の話)
ミツバチの被害だけでなく、トンボ、セミ、キリギリスなどの昆虫も激減しています。
北海道は、ダントツ(クロチアニジン)の出荷量が全国一位。

主として水稲のカメムシ防除のため大量使用されており、早くからミツバチ被害が出ました。
7種類のネオニコチノイド系農薬をみると、クロチアニジン、ジノテフランの順で多く、この2つで全ネオニコチノイド出荷量の80%以上、イミダクロブリドを加えると90%を占めています(道庁データより作成)。
 

自粛が決まるも被害発生は続いています
協会では、道の農政部、JA北海道中央会、市町村、農協に対して農薬散布の際の指導の徹底を申し入れ、道農政部からも農薬散布時に養蜂家との連絡を密にするよう行政指導が行われています。
結果、各地域で養蜂家と農家との協議会が設置され、ネオニコ粉剤使用の自粛が決まったものの、個別農家にまで情報が行き届かず、被害発生は続いています。
詳細:ダイオキシン国民会議ニュースレターVol.65
 

●急速に姿を消すトンボ
COP10では、開発による生息地の減少や、産卵する水域の変化が指摘される中、農薬の危害はあまり話題にされませんでした。

だが実は、ネオニコチノイド系農薬などの浸透性農薬がトンボ減少に影響する可能性を指摘した研究論文がいくつも発表されています。
 
国立環境研究所の五箇公一ほか、神宮字寛、上田哲行らによって2009年に発表された論文(農業農村工学会)
フィプロニルやイミダクロプリドを成分とする育苗箱施用殺虫剤の使用は、アキアカネ幼虫の大きな減少を招くことが示唆されています。
 
環境省「アカトンボ減少傾向の把握とその原因究明」
アキアカネの減少が始まった時期は、全国のアカトンボ研究者が2000年頃と印象を持っていることが明らかになりました。

その頃から全国的に急速に普及した水稲用の育苗箱施用殺虫剤、とりわけフィプロニルの使用が時期的に符合する要因として浮かび上がってきました。
 
関東東山病害虫研究会報(2004)
模擬水田において田水面のイミダクロプリド及びフィプロニルの動態を調査したところ、アキアカネは、殺虫剤イミダクロプリドやフィプロニルの影響で高い死亡率を示し、特にフィプロニルは48時間後の死亡率が何と100%に及んでいます。
 
●米ルイジアナ州、ザリガニ被害でバイエル社を提訴
米国ルイジアナ州では、1500のザリガニ業者と土地所有者たちが、フィプロニルを含む製剤ICONによるイネの種子処理(消毒)によって、沼などの水系汚染と土壌汚染、そして、ザリガニが被害を受け経済的打撃を受けたとしてバイエル社を提訴しました。

2004年、この問題はバイエルが賠償金($45million)を支払うことで決着しました(Beyond Pesticides: Daily News Archive 2010)が、フィプロニルが水系生物に対しては毒性がきわめて強いということは、すでに国際化学物質安全カード(WHO/IPCS/ILO) にも記されています。
 

●仏政府、ミツバチを殺すだけでなく、人間にもリスクがあると結論
フランス政府は、かつてイミダクロプリドでヒマワリなどの種子消毒の後にミツバチが大量死したように、2003年にはフィプロニルによるヒマワリの種子処理(消毒)が原因と見なされるミツバチ大量死が起きました。

そして同年12月にはフィプロニルの急性毒性を指摘する研究が発表されました。

その研究は人間へのリスクにも及び、国立科学研究センター(CNRS)の研究者は、フィプロニルの大気中の存在はミツバチを殺すだけでなく、人間にもリスクがあると結論を出しました。

こうして翌2004年、フィプロニル製品の販売停止がフランス司法官によって命じられました(農業情報研究所WAPIC)。
 
詳細:ダイオキシン国民会議ニュースレターVol.66「日本のトンボをす“浸透性農薬” ―フィプロニルとイミダクロプリドの脅威―」