・
「健康食品は食品だから安全」は間違い~長村氏講演(4)
2012年12月 6日 15:29
<表示含有量に満たない商品も>
品質面では、国民生活センターが厳しい指摘を行なっている。
コンドロイチン硫酸量の一日目最大摂取目安量の含有量調査では、公益財団法人日本健康・栄養食品協会の規格基準による分析法での測定と、国民生活センターがより正確なHPLC法で測定した結果を発表している。
分析した商品には、非常に売れ筋商品も入っているが、すべての商品が表示量通りに成分が含まれていなかった。
由来成分がサメ軟骨かどうかは、糖の比で確認できるが、データでは動物由来と確認できたのに、サメ軟骨としているものある。
また、崩壊性試験では、飲んでもお腹で溶けないというものもあった。
医薬品との相互作用に関して、健康食品は医薬品と種々な相互作用をする。
そのなかにはかなり深刻な問題があるが、その実態については未知な点が多い。
医薬品との相互作用は、吸収の過程における相互作用、代謝の過程における相互作用などがある。
飲んだ薬の大半は肝臓で変化し、変化した薬剤は効果が弱くなったり強くなったりする。
<ほとんどの健康食品は医薬品との併用可能?>
たとえば、グレープフルーツとフェロジピンなどの高血圧を一緒に飲むと、肝臓の酸化酵素の作用を弱め、医薬品の効果が増強することが認められている。
ビタミンKに関しては、抗凝血薬のワルファリンを投与されている人は、ビタミンKが豊富な納豆・青汁・クロレラなどをたくさん食べると、効果が減少して薬が効かなくなり、脳梗塞・心筋梗塞などを起こしてしまう。
これらの食品と医薬品の問題は有名で、薬をもらう時に注意される。
しかし、健康食品と医薬品の相性については、「医療従事者もあまりよくわかっていない」ということが、約5年前に判明した。
そこで、薬学部や医学部の先生方で構成される法人の教育委員会で、この問題を徹底調査した結果、「多くの効果の弱い健康食品は、医薬品と一緒に摂取してもあまり心配ない」という結論が出た。
しかし、重篤な症状を引き起こすこともある。
たとえば、セントジョーンズワートと種々の薬を一緒に摂取すると、効果が減弱するということが認められている。
移植手術を受けた人が、セントジョーンズワートを飲み始めたら、薬が効かなくなり拒絶反応が起き、飲むことを止めたら血中濃度が元に戻り、拒絶反応がおさまったという、有名な論文もある。
実際にセントジョーンズワートを飲んだことが原因と思われる症例は、たくさん報告が出ている。
このように、健康食品の安全性情報は、一般消費者はあまりわかっていないにもかかわらず、「健康食品は食品だから安全」と誤解している消費者も多い。
また、販売する側も、「健康食品は食品ですから薬とは違って副作用はありません」といったような、「食品だから安全」という文言を相当使っている事実も確認されている。
ある有名なサプリメントの新聞広告にも、「これは薬効のある食品です。どんなに摂っても副作用はありません」と記載されている。