職場の危険:トルエン22 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・浴室塗装作業中に発生した有機溶剤中毒

本災害は、一般住宅の浴室天井の塗装を脚立にのぼって行っていた作業者が、有機溶剤中毒となり、浴槽に転落したものである。
 災害発生当日、被災者Aは、同僚のBとともに作業現場に着いた後、10分程準備作業を行った。

その後Bはアルミサッシ窓枠上部の塗装を行い、その間、Aは、天井塗装のために床等にビニールシートを張る作業を行っていた。

窓枠の塗装を終えたBは、他の現場へ向かった。
 Aは、塗装面積から判断して塗装作業に必要な塗料の量は、約1.5lと考え、塗料約1l(トルエン30~40%、キシレン5~10%含有)をシンナー(トルエン60~70%、メタノール20~30%、酢酸メチル10~20%含有)0.5lで稀釈する調合作業を屋外で行った。
 Aは、午後2時半頃から、脚立とハケにより、この調合済み塗料を使って天井の手塗り作業を1人で行った。

このときAは防毒マスクを着用しておらず、また、浴室の窓及び出入口は開放されていたが、設備による換気は行われていなかった。
 Aは、作業開始後、1時間程して気分が悪くなったが、そのまま作業を続け、作業終了直前に、有機溶剤中毒により意識を失い、脚立から転落した。
 午後10時頃になってBは、翌日の仕事の打ち合わせにA宅を訪れたが、Aが帰宅していないのを不審に思い作業現場に行ったところ、浴槽内にAが倒れているのを発見した。
 Aは病院に収容され、有機溶剤中毒と診断されたものである。

Aは、塗装工として13年間、塗装作業に携わっており、その間、フラッとして倒れたことや、意識不明にまで到ったことが、何回かあった。

一方、A、Bとも約7年前に有機溶剤作業主任者技能講習を修了しており、こうしたことから、Aは有機溶剤に関する有害性の程度は、十分に認識していたものと考えられる。
 それにもかかわらず、狭い屋内作業場において換気をすることなく、しかも有機ガス用防毒マスク等も着用せず、作業をしていたことが本災害の原因である。

作業当日、有機ガス用防毒マスクは作業現場までは、持ち込まれていた。
 なお、A、Bの属する会社においては、有機溶剤健康診断は、過去1度も実施されていなかった。

[1] 浴室等通風が不十分な屋内作業場での短時間の有機溶剤業務では、全体換気装置を設置する等、十分な換気をし、かつ、作業者に送気マスクまたは、有機ガス用防毒マスクを着用させること。
[2] 有機溶剤作業主任者として十分な自覚をもち、その職務の励行を図らせること。
[3] 有機溶剤健康診断を6カ月以内ごとに1回、定期に実施し、異常所見が発見された場合は、作業の転換、作業時間の短縮等必要な措置を講じること。
[4] 作業中気分が悪くなったときは、直ちに作業を中止し、風通しの良いところで、安静にする等の措置を講じること。
[5] 単独での作業はできるだけ避けること。