・出展:ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議
http://kokumin-kaigi.org/
・農薬空中散布による人体被害
長野県在住 田 口 操
私は長野県上田市で保育所を運営していますが、今日は、空中散布(以下「空散」)による健康被害が出ていることを訴えにきました。
2008年、上田市内においてネオニコチノイド・有機リンの両方の農薬が空散され、園児や母親、園のスタッフに健康被害が発生しました。
長野県佐久市にある日本農村医学研究所に相談したところ、佐久総合病院で健康被害調査を行うことになりました。
この時の健康アンケート調査によれば、空散に近い場所ほど19歳以上では「頭が重い」、小さな子では「粘膜病状」が有為であるなどという結果がでました。
また私の保育所で具合が顕著に悪くなった二人の園児は、多動や描画能力の低下、不整脈が見られ、その母親たちには頭痛や倦怠感が見られました。
原因は松枯れ対策の農薬暴露が疑われる、という調査結果がでました。
私は普通の生活を送っていただけです。
それなのに、私の中枢神経の機能は普通の人の半分になり、化学物質化敏症・中枢神経機能障害という診断を受けました。
自分が化学物質過敏症だとは知らず、ある日全身に赤い斑点ができました。
翌日、いきなり息ができなくなり、救急車で運ばれました。
低酸素血症の疑い、呼吸困難ということで、11日間酸素マスクを付けて入院しておりましたが原因は分からず、北里研究所で検査して、中枢神経が機能しないため、息ができないことがわかりました。
少々でも毒物を吸い込むと死んでしまうことがある病気なのです。
しかし、化学物質過敏症と言うと他の病院に行ってくれと、長野県では診察してくれる病院もありません。
空散のような方法で猛毒を大気中にばらまくことは、私にとっては死を意味します。
また長野県では、空散は過敏な人には危険という言い方をしていますが、普通の人が過敏な体質になるのです。
長野県だけでも、発達障害児は小中学校で6268人、0歳児から数えれば1万人は超すでしょう。
全国で発達障害児の数は急増しています。
欧米先進国では、空散はヒト・環境の両方に脅威を及ぼすことが認められ、厳しい規制の対象になっています。
また、農薬が子どもに与える影響についての研究結果も発表されています。
それにも関わらず、通常、1000~2000倍に薄めて撒く毒物を5~10倍というほぼ原液に近い形で空散する国は、先進国の中で日本だけです。
2008年に、木村純子先生、黒田洋一郎先生が、神経毒性を持つ環境化学物質が発達障害の一因となっていることを指摘しました。
この結果を佐久総合病院の先生方と一緒に上田市に報告し、空散中止を求めたところ、上田市の母袋市長もこの結果は否定できないとして上田市における有人ヘリによる空散は中止となりました。青木村、坂城町も一緒に空散は中止してくれました。
しかし、近くの千曲市ではまだ空散を続けており、風が上田市にまで及び、健康被害を生じさせていることが調査でわかったので、長野県全体で空散を中止するように申し入れました。
長野県で検討会ができたので、黒田先生に有機リンなどの毒物が子どもの発達障害を起こすことをご説明いただきました。
長野県では、無人ヘリでは有機リンの自粛、被害が予想される場合には、空散の中止もあり得るということになりました。
しかし、有機リンの代わりに、ネオニコチノイドの使用量が増えています。
農薬の子どもたちへの健康影響の認知度はまだ高くはなく、完全中止にはなりそうにありません。
runより:私は農薬空中散布を「無差別テロと同等」と考えています。
ターゲットの虫の為に他の生き物も殺すからです。
そして人間も負ける寸前まできていると思います。