・高度被曝事件
水俣病
メチル水銀による公害として、熊本県の水俣や新潟県の阿賀野川の水俣病事件が知られています。
この事件は大量のメチル水銀を含んだ魚を食べたために起こったと考えられています。
有機水銀は特に神経系を侵します。水俣病の急性激症例では手足の感覚異常や脱力・運動失調・構音障害(話がはっきりしない)・関節痛などが先ず起こります。
次いで、けいれんや振戦・運動麻痺、最後に視力障害・意識混濁・精神錯乱がみられます。
典型的症状として、感覚異常・運動失調・難聴・構音障害、視野狭窄・振戦などが見られます。
急性メチル水銀中毒の症状は体重50 kgの人で、25 mgが蓄積すると感覚障害が発生し、100 mgで典型的な症状が現れ、200 mgで死亡するといわれています。
毛髪水銀値 50 ppm以上、血中水銀値 200 ppbで発症の危険があるとされています。
慢性的な汚染の場合や胎児性水俣病ではこの値に疑問が出されています。
軽症や慢性水俣病では感覚障害だけの人から、少数の症状が組み合わさったものまで様々な症状が見られます。
母親に重い障害を与えないのに胎児に重い障害を与えた例も発見されています。
イラクの事件
1971年、イラクでメチル水銀を使って消毒した種をパンにして食べ、中毒が起こりました。
成人や子どもにも中毒が起こりましたが、妊娠中にパンを食べた妊婦から生まれた子どもの感受性が最も高いことがわかりました。
大人では感覚異常が16~30日の潜伏期後に起こりました。
食べた量が多ければ多いほど症状は激しく現れました。
最も強い被曝を受けた人では、運動失調や視覚低下・構音障害・難聴が見らています。
胎児期に被曝した幼児では、脳性麻痺や筋肉のトーヌス(緊張)と腱反射異常・発育の遅れが見られました。