・2009 年4 月、欧州議会の決議は、バイオイニシアティブ報告 に言及し、
ICNIRP ガイドラインに基づき、1999 年の欧州評議会勧告の電磁場制限を再考するよう求めた(欧州議会、2009)。
2011 年5 月、欧州評議会議員会議(訳注:欧州評議会の諮問・モニタリング機関。略称PACE)は、報告書「電磁場の潜在的な危険性と環境におけるそれらの影響」を採択した(PACE,2011)。
その報告は、人類と環境を守るための数多くの対策、とくに高周波電磁場からの対策を求める。
勧告の一つは、「電磁場、とくに無線周波数、とりわけ頭部の腫瘍のリスクが最も大きいように見える子どもや若者への被曝を減らすために。
あらゆる合理的な対策をとること」だ。
また2011 年5 月には、WHO の国際がん研究機関の専門家グループが、無線周波数電磁場を「ヒトに対する発がん性の可能性がある(グループ2B)」に分類した(IARC,2011)。
スイスで2004 年に行なわれた代表電話調査(人数=2048 人、年齢>14 歳)では、自分を電磁波過敏症だと「診断」する人は5%だった(Schreier ら,2006)。
2001 年にスイスで行なわれた別な調査では、回答者394 人は特異的健康問題が電磁場被曝に起因すると考えた。
とくに下記症状が頻繁に起きると報告された:睡眠障害(58%)、頭痛(41%)、神経質(19%)、疲労(18%)、集中困難(16%)。回答者たちは、原因として携帯電話基地局(74%)、携帯電話(36%)、コードレス電話(29%)、高圧送電線(27%)をあげた。
回答者の三分の二は、症状を減らすために対策をとり、最も頻度の高い対策は被曝を避けることだった。
顕著なのは、13%だけが主治医に相談したことだ(Röösil ら、2004)。
Regel らによる2006 年の研究は被曝影響を述べなかったが、「電磁波過敏」の人たちと対照群に携帯電話基地局の信号(GSM、UMTS または両方)に曝す二つの誘発実験は、過敏性を報告した人々の間でUMTS 被曝後、ウェル-ビーイング(訳注:健康な状態)の有意な減少を発見した(Zwamborn ら2003 年、Eltiti ら2007 年)。
携帯電話基地局の近くに住む人々について入手可能なデータを分析すると、有害な健康影響の明らかな兆候が得られた(Santini ら2002年、Navvaro ら2003 年、Hutter ら2006 年、Abdel-Rassoul ら2007 年、Blettnerら2008 年)。
電磁場と生物学的システムの相互作用に関する科学的文献に基づき、相互作用のいくつかのメカニズムが起こりうる。
細胞内と細胞間レベルでのもっともらしく思われるメカニズムは、フリーラジカルや酸化、そしてニトロソ化ストレスの形成を通じた相互作用だ(Friedmann ら2007 年、Simkó2007 年、Pall2007 年、Bedard とKrause2007 年、Pacher ら2007 年、Desai ら2009 年)。
それは、超酸化物(O2-)を伴う窒素酸化物(NO)の反応から過酸化窒素(ONOO-)の形成増加に集中させる。比較的長い半減期のせいで、過酸化窒素は、重要な代謝プロセスと細胞の成分の数多くを傷つける。
このアプローチは、電磁場被曝の状況で観察される健康問題と症状、その進行の多くのもっともらしく思われる説明を提供する。電磁場症候群(EMFS)は、慢性疲労症候群(CFS)や多種化学物質過敏症(MCS)、繊維筋痛症(FM)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)のような、多系統性疾患と見なされるべきだという示唆が増えている。
スウェーデンでは、電磁場症候群は電磁波過敏症(EHS)と呼ばれ、身体障
害として考えられ、障害者として認められている。
1993 年12 月20 日の国連決議48/96、付属文書(UN1993)を参照すると、地方自治体はEHS の人たちに支援を与える。
EHS の非雇用者は、障害があっても働けるように雇用主から支援を受ける権利がある。
スウェーデンのいくつかの病院は、電磁場被曝の少ない病室を提供する。