・基地局設置の手続き規制
もう一つ問題なのは、携帯電話基地局を設置するときの手続きの規制が、日本にはないことだ。
一般の建築物にも適用される、建築基準法が適用される場合もあるが、その手続きを満たせば、基地局周辺の住民に説明などをしなくても建てることができる。
「うちの近くに基地局が建てられようとしているが、何の説明もなく突然工事が始まった」という相談をよく受けるし、皆様の中にもそういう事態に陥った方がいると思う。
国の法律上はそれで良いというのが現実だ。
ただ、これだけ世界でいろいろな研究結果が出ていて、世界のいろいろな機関が「気をつけたほうがいい」と言っている問題について、周辺住民に何の説明もなく自分の家の隣とか、自分が住んでいるマンションに突然基地局を建てられてしまうのは、やっぱりおかしいのではないかと考えている人が多くいると思う。
国の法律は事前説明を定めていないが、地方自治体が定める条例で、基地局を建てるときには周辺の住民に説明しなければならないと定めている自治体も出てきている。
神奈川県鎌倉市、福岡県篠栗町などだ。最近、福岡県太宰府市でも条例を作るという動きがあったが、残念ながら、市長の独断で妨害されてしまった。
住民の皆さんは、基地局を突然隣に建てられるのはたまらないので、少なくとも事前に説明はしてほしい、自分たちの意見も聞いて、その上で、基地局の設置場所を決めてほしいと考えていると思う。
それは当然の要求なので、条例に任せるのではなくて、国の法律のレベルできちんと基地局設置の手続きを規制しなければならないと思う。
厳しい基準を採る国
世界的には、日本よりも低い基準値を採っているところも多い。
たとえばスイスだと1.8ギガヘルツだと9.5マイクロワット/平方センチなので日本の100分の1ぐらい。
ロシアは10マイクロワット/平方センチ。
イタリアはセンシティブエリアという学校や幼稚園が近くにある所では厳しい値を採らなければならないとして10マイクロワット/平方センチとしている。
私は日弁連公害環境委員会の関係により、昨年3月に電磁波問題の視察として、スウェーデンとスイスへ行ってきた。