飲酒とアセトアルデヒド7 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・8肝硬変.
 肝硬変では、肝臓は、肝細胞壊死により、線維が増生し(肝線維症:肝繊維症)、残存した肝細胞が強く再生し、線維で囲まれた種々の大きさの肝細胞の塊(再生結節:中心静脈が存在する)を形成している。
 肝硬変(Liver cirrhosis)のcirrhosisと言う言葉は、ギリシャ語のkirrhosis(橙黄色の意味)に由来している。
 肝硬変では、易疲労感、全身倦怠感、食欲不振、腹痛などの自覚症状が現れる。

 肝硬変は、アルコールの過剰摂取、ウイルス性肝炎(B型)などが、原因で起こることが多い。
 アルコール性肝硬変は、アルコールの直接的肝障害作用(アルデヒドの細胞障害作用)により肝細胞が障害されるのが、一次的原因で起こる。

また、栄養障害(ビタミン類や蛋白質摂取の不足)は、アルコールの肝障害作用を促進させる。


 飲んだアルコールの総量が多い程、肝硬変に罹り易くなる。

1日平均160g以上15年間飲み続けると、約80%の症例は、アルコール性肝炎やアルコール性肝硬変になる。
 アルコール性肝硬変は、脂肪肝を伴なうことが多い。

 肝硬変で肝機能がかなり低下すると(非代償期)、黄疸、腹水、浮腫、精神症状、出血傾向など、重篤な症状が見られる。
 浮腫や腹水は、肝機能障害の為、肝臓でのアルブミン生成が低下し、低アルブミン血症になり、血漿膠質浸透圧が低下し、門脈圧が上昇し、肝リンパが漏出することが主因で起こる。

さらに、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAA系)の活性亢進による二次性高アルドステロン血症や、近位尿細管でのNa再吸収増加により、浮腫や腹水が増悪する。

肝臓は、アルブミンを、1日10~15g生成する。血清アルブミンが3.5g/dl以下に低下すると、腹水、下腿の浮腫(むくみ)が現れる。
 出血傾向は、肝臓での凝固因子の生成が低下することが原因で起こる。肝硬変では、食道静脈瘤や、胃・十二指潰瘍から出血することも、多い(貧血や、黒色便が見られる)。
 皮膚は、黄疸に加え、メラノーシスの為に黒色調を帯び、くも状血管拡張、手掌紅斑が見られる。

肝硬変で見られる手掌紅斑は、手の辺縁部や指は、潮斑が見られるが、手の中心部は、潮斑が薄い。

 血液検査の肝機能検査(AST値など肝逸脱酵素値)は、肝障害の診断(肝病変の量的変化の評価)には有用であっても、どう言う病気かの確定診断(肝硬変であると言う質的な変化の評価)には、役立たない。
 肝硬変が末期になると、肝臓は線維化して、肝細胞量が少なくなるので、破壊される肝細胞量も少なく、血液中のAST(GOT)値、ALT(GPT)値は、むしろ、低下する。

 肝硬変の三大死因は、肝不全、消化管出血、肝癌の合併。

 アルコール性肝硬変では、肝臓に脂肪が蓄積し、他の原因による肝硬変に比して、肝臓が大きい(肝腫大)。 
 禁酒をすると、急速に肝腫大の程度が、軽減する。

 肝硬変では、食事摂取量が減少し、亜鉛(Zn)が欠乏し易い。
 肝硬変で門脈圧亢進症になると、小腸粘膜が萎縮し、小腸からの亜鉛吸収率が、低下する。
 亜鉛は、血液中では、アルブミンや、α2-マクログロブリンや、アミノ酸などと結合して、輸送される。肝硬変では、肝臓でのアルブミン生成が減少する為、アルブミン結合亜鉛は減少し、また、アミノ酸結合亜鉛は増加し、尿中への亜鉛排出が増加してしまう。
 亜鉛が欠乏すると、肝臓での蛋白合成速度が低下したり、尿素回路に於けるアンモニア処理能が低下したり、細胞膜が酸化し易くなり(lipid peroxidationが亢進)、細胞膜が不安定化し、肝細胞障害や肝線維症(線維の増生)が起こり易くなる。
 亜鉛は、コラーゲン合成にも必要なミネラルであり、亜鉛が欠乏すると、皮膚の傷の修復が遅れ、潰瘍などを形成することもある(昔から、亜鉛華軟膏など、亜鉛は、皮膚疾患の疾患の治療に用いられて来た)。