・現在の臨床試験
アロマテラピーや精油に関する癌の補完代替臨床試験のNCI リストをチェックしなさい。
活発に患者を募集しています。
臨床試験に関する一般情報もNCI ウェッブサイトで利用できる。
悪影響
Adverse Effects
精油の安全試験はわずかな悪影響を示している。
数種のオイルは食品添加物として使用が認められており、米国食品医薬品局によりGRAS(食品添加物安全表示) と分類されているが、大量の精油経口摂取は勧めない。
他に、2、3 の接触皮膚炎が、アロマテラピー
・マッサージでオイルとの長期皮膚接触があった人、ほとんどがアロマテラピスト、で報告されている[1]。一部の精油(例えばカンファーオイル)は局所刺激を起こすことがあり、そのため、使うときに注意すべきである。
光毒性は日光被ばく前に精油類(特に柑橘類のオイル)を直摂皮膚に使った時に起こる[1]。
症例報告はマッサージなしの吸入アロマテラピーで空気伝達性接触皮膚炎も示している[2]。
アロマテラピーは植物を特定しない未同定の精油を時々使う。
アレルギー反応は、特に局所投与後に、時々報告される。
精油が古くなるにつれ、精油は酸化され化学成分が変化することが多い。臭いと心理学的関係は悪影響をもたらすだろう。局所投与によるラベンダーオイルとティーツリーのオイルとの被ばくは思春期前の女性化乳房と関係すると、ある研究が示した[3]。
この影響はラベンダー油とティツリー油とのおそらく可逆的エストロゲン性および抗アンドロゲン性活性により起こったと思われる。
そのため、エストロゲン依存性腫瘍がある患者にこれら2 種の精油を避けることを勧める。
しかし、これはティーツリーやラベンダー油製品を使用するとき、この種の悪影響の最初の発表である。
* generally recognized as safe (一般に安全と認められる)
アロマテラピーと精油類の証拠の要約
Summary of the Evidence for Aromatherapy and Essential Oils
癌になった人の補完代替医療(CAM)治療に関する人間の研究結果を評価するのに読者を援助するため、各種治療に関する証拠の強み(すなわち、証拠のレベル)は可能な限り常に提供した。
証拠のレベルの分析を適切にするために、研究は次のことが必要がである。
・査読科学雑誌に発表される
・腫瘍の反応や生存の改善、測定した生活の質改善といった治療成果や結果の報告
・有意な評価ができるような十分詳しく臨床的所見を記述
研究計画の統計的強さおよび測定した治療結果(すなわち、評価項目)に基づき人間での研究を明らかにするために、個々のレベルの証拠スコアを出した。
その結果生じた2 つのスコアを、次に、全体のスコアを得るために組み合わせた。
【訳者あとがき】
最近、さまざまな所で、??という時があります。
方々でかすかな臭い出会います。
香料といっても秋の初めに、ふと香るキンモクセイに違和感を覚えたことはありません。
すてきな香りです。
しかし、それを1日中かがされればどうでしょうか。
人によっては頭痛や喘息、皮膚炎などのさまざまな香料の影響を受けているそうです。
このような方々がいるのに、たぶん「善意」と臭いで客を釣ろうという「商魂」から建物内を香料で「燻蒸」している方々がいます。
病弱な人や幼い人、妊婦が集まる病院で、香料を使って「善意のサービス」をしているところがあります。
しかし、アロマテラピーが有効であるという証拠は、NCI の本翻訳に示されているように貧弱です。
アロマテラピーを不特定の人を相手に行うというのは、貴重なリソースを無駄に使うことになります。
アロマテラピーは患者にふさわしい方法と時期に行わなければなりません。ある病院ではアロマが苦痛なので、通常の営業時間に通院できないという患者がいます。
これはアロマを悪意なく充満させていても、間接的に患者に害を与えているのでないでしょうか。
昔は化学物質や医学・生物に関する知識が今ほど発達していないので、精油の健康影響が良くわかりませんでした。
しかし、この米国のNCI の報告で分かるように、
① 研究計画が良い臨床研究で、アロマテラピーの有効性を示す証拠は不十分であり、
② アロマテラピーに使う精油が皮膚炎などを起こし、
③ 精油の一部にエストロゲン作用などがあり、思春期前男性で女性化乳房を起こした。
以上のように、アロマ使用を病院で行うのは疑問です。
善意であっても、香料の無差別な使用は一部の人にはつらいことです。
病院のみならず、多くの場所で香料で不特定多数の人間を「薫蒸する」ことは慎むべきです。
2012 年2 月8 日 渡部和男