・環境汚染問題 私たちと子どもたちの未来のために
http://www.maroon.dti.ne.jp/bandaikw/
・化学物質問題を考える
環境汚染の歴史
予防原則(*)
人類はあまりにも多くのあやまちを重ねてきました。
あやまちを繰り返さないためにも、歴史から「予防原則」を学ばなければなりません。
予防原則とは化学物質や事業活動が健康や環境に悪影響を及ぼすことが合理的に推定される場合、安全であることが証明されない限り使用や実施をさせないという原則です。
一部では予防原則はすでに実行されています。
例えば、タバコの悪影響について完全な証明はありません。
しかし、疑うに十分なデータがあり、多くの場所で喫煙が禁止になっています。
*予防原則(precautionary principle)は第二次世界大戦後の急速な産業の成長と汚染防止の法律が貧弱であったために、人間の健康や環境への影響が顕在化したため作られてきた考え方です。
この概念は1970年代に旧西ドイツでvorsorgeprinzip(vor「まえに」+sorge「心配」+princip「原則」)として誕生しました。
当初この概念の核心には、社会は注意深い将来計画によって環境を傷つけることを避けるべきであり、潜在的に有害な活動を阻止すべきであるという概念がありました。
この概念はドイツ環境法の基礎的な理念に発展し、多くの環境問題に取り組む政策に発動されています。
その後、予防原則 (precautionary principle)は多くの国際条約や協定で、環境問題の解決のために取り入れられました。
最近では、科学者や政府公務員・法律家・労働者・草の根環境活動家の国際的なグループが、予防原則を定義し議論するために、ウイスコンシン州ラシーンのウイングスプレッドに1998年1月23~25日に集まり、2日間の会合後、同グループは予防原則に関するウイングスプレッド宣言を発表した。次のハンドブックに予防原則が詳しく解説されています。
*Tickner, J., Raffensperger, C. Myers, N. THE PRECAUTIONARY PRINCIPLE IN ACTION, A HANDBOOK, Science and Environmental Health Network, 1999.(日本語訳;原文の方が分かりやすいかもしれません)。
戦前からの汚染問題
カドミウムや鉛などの重金属はホルモンかく乱物質と現在推定されています。カドミウムは1920年すでにイタイイタイ病を発生させていました。
鉛添加ガソリンは1923年から使われています。
さらにPCBやDDTなど残留性有機塩素化合物も1920年代から1930年代に現れています。
農薬
戦後になるとホリドール*や有機塩素系農薬が多用されるようになりました。
最初に規制されたホリドールは猛毒で、数十人の中毒死者が続出した後、ようやく禁止されました。
残留性のある有機塩素系殺虫剤のDDTやBHCなども母乳から検出されたり、レーチェル・カーソンの名著『沈黙の春』(あるいは『生と死の妙薬』)」が出版されたことにより世界中が注目し、その後ようやく規制されるようになりました。
*ホリドール(メチルパラチオン)は強力な毒性を持つ有機燐剤。
日本では現在使われていない。