・シンポジウム14
アナフィラキシー
司会者:松永佳世子1),田所憲治2)(藤田保健衛生大学皮膚科1),東京都西赤十字血液センター2))
6.ラテックスアレルギーによるアナフィラキシー
冨高晶子,秋田浩孝,加野尚生,赤松浩彦,松永佳世子1),鈴木加余子2)
藤田保健衛生大学医学部皮膚科1),大同病院皮膚科2)
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ラテックスアレルギーは天然ゴムラテックス蛋白(以下ラテックスと略す)に対する即時型アレルギーである.
ラテックスアレルギー患者が医療用や家庭用ゴム手袋などのラテックス製品への接触を続けた場合,局所的な即時型過敏反応(ex. 蕁麻疹)だけでなくアナフィラキシーショックへと発展し,最も重篤な場合は死亡する場合もある.
当院では1995年から現在までに藤田保健衛生大学病院および関連病院皮膚科において80例を越えるラテックスアレルギー患者を経験した.
その間,ラテックスによるアナフィラキシーショックが誘発された症例は6例であった.
これらの症例は4例が医療従事者,2例が一般主婦であった.
前者はいずれも医療用ラテックス製手袋の使用により,後者は1例は注腸造影時のラテックス製カテーテルにより,もう1例は産婦人科での内診時のラテックス手袋の使用によりアナフィラキシーショックが誘発されていた.
6例中4例はアトピー性疾患(アレルギー性鼻炎,アトピー性皮膚炎,気管支喘息)を合併しており,非特異IgE抗体値は平均2065U/ml(78~8840),ラテックス特異IgE抗体値は平均19.6UA/ml(1.28~80.5)であった.
さらに我々はラテックスと植物性食物との交差反応による即時型アレルギーであるラテックスフルーツ症候群において,栗摂取後のアナフィラキシーショックを4例経験している.
この4例を含めたラテックスフルーツ症候群の症例と他のラテックスアレルギー症例を比較検討したところ,植物性食物摂取後の症状が口腔内症状のみであった症例より,重篤な蕁麻疹や消化器症状,アナフィラキシーショックなどの症状が出現した症例はラテックスアレルギーの重症度もより重篤であった.
また,これまでラテックスフルーツ症候群の原因として非常に多種類の植物性食物の交差反応が報告されているが,栗,バナナ,アボカドは重篤な全身症状を呈する傾向を認めた.
今回は,これらの症例を経験し検討した結果をもとに,患者背景や症状の特徴,対処方法などをまとめ,ラテックスアレルギーおよびラテックスフルーツ症候群におけるアナフィラキシーの治療および対策とその問題点について解説する.
第15回日本アレルギー学会春季臨床大会 2003年5月開催