電気ストーブ化学物質過敏症事件 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・国民生活センターより
http://www.kokusen.go.jp/ncac_index.html

・電気ストーブ化学物質過敏症事件
本件は、高校一年生男子が、自宅自室で使用した電気ストーブから発生した有害化学物質により化学物質過敏症の後遺障害が生じたとして、同人およびその両親が、不法行為、債務不履行または製造物責任法3条に基づき、同ストーブを販売した販売店に対し損害賠償を求めた事案である。

裁判所は、同ストーブから発生した化学物質と健康被害との間には因果関係があり、同被害発生も予見可能であったとして、販売店の責任を否定した一審判決を取り消し、販売店の不法行為責任を認めた(両親からの慰謝料請求は棄却している)。

(東京高裁平成18年8月31日判決)

•『判例時報』1959号3ページ
•請求認容・上告棄却


事件の概要
X1:消費者(事故時高校1年生)
X2、3:X1の両親
Y:本件ストーブの販売店
A:X1を診断した病院

1. X2が、平成13年1月10日、Yにおいて、中国製の電気ストーブ(本件ストーブ)1台を購入した。

X1がこれを同月27日頃から同年2月25日頃までの間、自宅の自室で使用していたが、X1は、使用して数日後鼻の粘膜に不快感を覚え、同年2月13日頃には、鼻の異常のほか、腹部、胃のむかつき、腹部全体の不快感や違和感を覚えるようになった。

その後、眼科で急性結膜炎との診断を受けたが、結局結膜炎の原因が明らかにならず、手足や指にしびれを感じ、運動障害や顔面麻痺(まひ)を生じ、同月26日、授業中に呼吸困難となったり、階段を昇れない歩行障害となり、同月28日から同年3月16日まで入院した。

同年12月20日、X1はA病院において、同病院の医師から、本件症状は本件ストーブの使用を原因とする中枢神経機能障害・自律神経機能障害と診断され、また、慢性症状としての化学物質の過敏症を獲得しているものと診断された。

2. Xらは、これらの障害を負ったのは本件ストーブから有害物質が発生したためであるとし、また、X2、X3はX1の上記発症により精神的損害を被ったとして、Yに対し、不法行為、債務不履行(不完全履行)または製造物責任法3条に基づき損害賠償の請求をした。

原審は、X1に生じた症状と本件ストーブから発生した有害化学物質との間に因果関係は認められないとして、Xらの請求を棄却した。

そこでXらは、これを不服として控訴をした。本件はその控訴審判決である。