大人のぜんそく(5)Q&A 安定しても粘り強く治療 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・昭和大呼吸器・アレルギー内科教授 足立満(あだち・みつる)さん
 1971年、昭和大医学部卒。山梨赤十字病院内科部長などを経て、2008年から現職。日本アレルギー学会常務理事、日本呼吸器学会代議員 ぜんそくの治療について、昭和大(東京)呼吸器・アレルギー内科教授の足立満さんに聞きました。

 ――ぜんそくとはどんな病気ですか。

 「気道に慢性的な炎症が続いて過敏になる病気です。ダニやハウスダストなどといったアレルギー反応による『アトピー型』と、原因がよく分からない『非アトピー型』があります」

 「日本の患者数は450万~500万人と推測されます。子ども(16歳未満)の7~9%、大人(16歳以上)の3~4%が患者と見られています。子どもの病気というイメージが強いですが、患者は大人の方がはるかに多く、そのうち8割は、子どもの頃にぜんそくを経験していません」

 ――症状の特徴は。

 「たばこの煙や香水、冷たい空気などが刺激となり、発作を起こすことがあります。呼気の通りが悪くなり、息苦しさを訴えるのも特徴です」

 「戦後間もない頃は、ぜんそくで年間1万5000人が亡くなっています。かつては気管支拡張薬を使って発作で狭くなった気道を広げ、息苦しさを和らげる対症療法が中心でした。現在の治療の基本は、気道の炎症を抑える吸入ステロイド(副腎皮質ホルモン)です。その効果は劇的で、2010年にぜんそくで亡くなった人は2165人となり、10年前に比べて半減しました」

 ――治療はいつまで続けるのですか。

 「一時的に症状がなくなっても、『治った』と思いこむのは尚早です。吸入薬を勝手に中断すると、炎症が再発し、頻繁に発作を繰り返すことで気道が傷みます。傷が治らないまま新しい傷ができると不完全な状態で修復し、その結果、気道が厚く硬くなります。ますます狭く過敏になって発作が起きやすくなるといった悪循環に陥ります」

 「症状が安定してきても、医師と相談しながら徐々に薬を減らして良い状態を維持するなど粘り強く治療を続けることが大切です」

 ――吸入の仕方について、指導が不十分なケースも目立ちますね。

 「吸入ステロイドを正しく使うことが必要です。使い方で治療の効果も全く違ってきます。医師の指導が不十分で正しい使い方を知らない患者が少なくありません。医師には、看護師や薬剤師とも協力しながら、丁寧に指導することが求められています」

 ――患者へのアドバイスをお願いします。

 「治療の目標は〈健康な人と変わらない日常生活を過ごせる〉です。克服して活躍する運動選手もいます。ただ、10年に行った患者の意識調査では、2~3日に1回発作があっても、十分コントロールできていると思い込んでいる患者が9割に上ります」

 「適切な治療をすれば、もっと良くなります。『ぜんそくなので仕方ない』と、スポーツや旅行、趣味など人生の楽しみを諦めてしまう必要は全くありません」(野村昌玄)

(2011年11月9日 読売新聞)