・一般演題
環境アレルギー,職業アレルギー,昆虫アレルギー
座長:中村陽一(横浜市立みなと赤十字病院アレルギー科)
P5-7-1.シックハウス症候群(SHS)診断基準の検証
長谷川眞紀, 大友 守, 秋山一男
国立病院機構相模原病院アレルギー科
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[目的]SHSは未だ,発症機序も病態も不明の疾患群であるが,最近厚生労働科学研究においてその診断基準が発表された.
診断基準は特定の場所と結びついた発症と症状の再現性を要するとするものであるが,その場所の室内環境汚染が認められれば,強い根拠となるとされている.
我々は受診した患者の中から希望者の環境調査を行っているので,環境汚染と症状の関係を検討した.
[方法]24時間のpassive sampling法で室内気を採取し,分析した.室内環境指針値を汚染の基準とした.
それらの患者の記録から診断基準に合致する患者を選び出して検討した.[結果]平成21年9月までに101名の患者(男性39名,女性62名)について環境調査を行った.臨床症状,病歴から診断基準の3条件を満たす患者は63名(男性28名,女性35名)であった.
うち,環境汚染が認められたのは男性6名,女性12名であり,汚染物質はp-ジクロロベンゼンが男性で3名,女性で8名を占めた.
残りの例はいずれもアルデヒド類であり,他のVOCによる汚染は認められなかった.
ホルムアルデヒドの最高値は191μg/m3であり,p-ジクロロベンゼンの最高値は3337μg/m3であった.
また汚染の強い場所の方で症状が軽いなどの例が認められた.
[結論]環境調査により確認することが診断をより確実にするものと考えられる.
第22回日本アレルギー学会春季臨床大会 2010年5月開催