脳がどのように働いているかを知るためには神経についての理解が必要です。
ここでは神経の構造や働きについて説明します。
神経組織にはニューロンと呼ばれる神経細胞があり、その一部分である丸
い形をした細胞体からは軸索という長い筒状の突起が伸びています。
さらにその細胞体からは樹状突起という、まるで樹の枝を思わせるような
突起がたくさん出ています。
また、神経細胞であるニューロンとニューロンが結合している部分をシナ
プスと呼びます。
シナプスでは、神経伝達物質という化学物質を送り手のニューロンから、
受け手のニューロンに出して情報を伝達するのです。
神経伝達物質にはシナプスに興奮を伝達させる興奮性の物質とそれを抑え
る抑制性の物質があり、前者にはグルタミン酸やアスパラギン酸、後者には
グリシンや今話題のGABAギャバ(ガンマアミノ酪酸)があります。
このように情報を身体の隅々にまで伝えられるシステムになっている神経には電流が流れているのですが、それは電線に流れる電気のシステムとは全く異なるものです。
また、神経には様々な知覚をを感知する感覚神経、そして身体を動かすための運動神経があります。
さらに体内の色々なバランスを調整する神経もあり、それが自律神経と呼ばれるものです。
自律神経系には、交感神経、副交感神経、腸管神経の3つがあります。
交感神経と副交感神経は、お互いにバランスを取りながら働いておりヒトが、
怒ったり泣いたり喜んだりのような興奮状態のときには交感神経が活発に働き、心拍数や血圧を上昇させ、瞳孔を拡大させます。
逆に、副交感神経はリラックスしたときに活発に働き、心拍数や血圧を下げ、瞳孔を収縮させます。
それは 例えば食事をしたり、寝るときなどで副交感神経が亢進している状態なのです。
特に副交感神経は、内臓の働きのほとんどを調節しています。
つまり リラックスして食事をすると副交感神経が活発になり、胃腸の働きが
促進されるので食べたものが分解されてできる栄養分が各細胞により運び
やすくされるということになるでしょう。
しかし、現代人はストレスが多くいつも身体が緊張状態になっており、交感神経が優位に働いています。
そうなると、睡眠や食事などのさまざまなことにも悪影響を及ぼし、身体のバランスを崩していくことになるのです。
いつも楽しそうに笑っていると副交感神経が亢進して免疫が上がり、身体が健康になるなど 最近ではバランスを崩した自律神経をケアするための色々な工夫や健康法などが話題にのぼっているようです。
最後に腸管神経ですが、この神経は胃腸の働きを管理しています。交感神経、副交感神経とは別の系統にあります。
脳は膨大な量の情報を処理するので、腸の神経はある程度、独立して働いてくれた方が脳の処理能力に負担をかけないためであると考えられています。