・Ⅶ. 日用品に関する相談
Q30.患者さんが、居住環境の変化に伴い、塗料・溶剤・接着剤・文房具・殺虫剤・防虫剤・防カビ剤・芳香剤・洗剤・消毒液・化粧品・整髪料・売薬・調味料・衣類・クリーニング・柔軟剤・漂白剤などの使用で体調の変化を訴えています。どうしたらよいでしょうか。
A
●
私達の周りの生活用品のほとんどのものに化学物質が使用されている。体調変化の訴えがあれば、専門医への相談を勧める。
Q31.最近、「低ホルムアルデヒド」【低ホルム】と表示した商品があります。
安全でしょうか。
A
●
低ホルムアルデヒドといっても人によって化学物質に対する感受性に個人差があり、必ずしも安全とはいえない。
●
低ホルムアルデヒドの製品は、通常の製品よりは身体にやさしいと考えられるので、「低ホルムアルデヒド」の表示がされているものを勧める。
●
ただし、どのような数値を【低ホルム】と規定しているのか明示していないものが多い。従って、【低ホルム】だから安全であるとはいえない。
JIS規格やJAS規格、または各業界で作成した規格の明示がない場合や、どの部分が低いのかを表記してない製品は信用しない方が賢明だと思われる。現行法では【低ホルム】という表示に対しての罰則規定はない。
●
現在の合板には農水省が規定している数値がある。また、厚生労働省はホル
ムアルデヒドの指針値(基準値)を0.08ppmと定めている。従って、それ以下の数値であれば【低ホルム】といえるが、 定義があるわけではない。
Ⅷ.関係機関の問い合わせ
Q32.原因物質解明等の医療行為は保険の適用がないと聞いています。
どのくらいの費用がかかるか教えてください。
A
●
一部保険の適用がない場合もあるが、薬物中毒やアレルギー性疾患の診断のために必要な検査は、医療行為(保険の適用範囲内)となる。
詳しくは医療機関に相談が必要。
Q33.環境中のホルムアルデヒドを患者さん自身が自分で簡単に検査する手段はありますか。
A
●
自治体によっては、建築相談センターのような相談窓口で、「室内ホルムアルデヒド濃度簡易計測器」の貸し出しを行っているところがある。
また、NPO法人や建築団体で、測定器の貸し出しを行っている団体もある。
Q34.建築・改築の際、居住環境についてチェックするにはどのようにしたらよいですか。
A
●
住環境コーディネーターという資格が日本にもあり、各種相談業務に対応している。建築士会のような専門スタッフのいる窓口に相談してもよい。
Q35.保健所に検査を頼みたいのですが。
A
●
各保健所で対応。
(各保健所によって対応できる体制にばらつきがあるため、個別対応)
(例)家の見取り図や使われている建材・壁紙・溶剤のリストなど建築時のデータを持参のうえ、直接保健所まで来所を願う。
Q36.新築の家に引っ越してすぐ体調が悪くなったのに、施工業者は取り合ってくれないとのことです。どうすればよいですか。
A
●
各都道府県に建築士会や業界の相談窓口がある。
Q37.患者の会があれば教えてください。
A
●
患者の会や支援団体などが全国にある。
積極的にホームページ等に活動内容など掲示している団体があるので確認する。
(各保健所で、連絡をとっている団体があれば、連絡方法などを提示)
Q38.身の回りの製品への苦情はどうすればよいですか。
A
●
全国都道府県の消費生活センター(全国498か所)では、商品やサービスなど消費生活全般に関する苦情や問合せなどについての相談を専門の相談員が受付け、公正な立場で処理にあたっている。
※全国の消費生活センター(http://www.kokusen.go.jp/map
)を参照。
runより:これにてSHS診療マニュアルは終了です。
医療従事者向けでありながら分かりやすいという事はシックハウス症候群がいかに複雑かを象徴しています。
今後の更なる研究に期待したいと思います。