SHS診療マニュアル6 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・③概念合意事項(定義、診断基準)
1.広義のシックハウス症候群
発生場所という観点では、シックハウス症候群は主に住居用建物で発生するが、職場、学校などの非居住用建物で同様な症状の患者が発生する場合、これらもシックハウス症候群と称している。

したがって広義のシックハウス症候群は図1に示すような概念になると思われる。

病態としては、中毒、アレルギー、病態未解明の3つに分類でき、要因としてはホルムアルデヒド、有機溶剤などの化学物質とカビ、ダニなどの生物要因がある。

温度、湿度などの物理的要因は、化学・生物要因の発生に関与すると考えられる。

また発生場所には住居のほかに職場、学校などがある。
上記の概念に従って、シックハウス症候群の患者を表1のように臨床分類することも可能であり、適切な診療を行う上で役立つと思われる。

われわれが提案したシックハウス症候群の臨床分類は以下のとおりである。すなわち1型は化学物質による中毒症状、2型は新・改築などで化学物質曝露の可能性が大きいもの(狭義のシックハウス症候群)、3型は化学物質曝露が考えにくく、心理・精神的関与が考えられるもの、4型はアレルギー疾患や他の疾患による症状である(1)。
この分類が妥当であるか検証するため、臨床環境医学の専門知識を持ち、シックハウス症候群患者の診療に従事している熟練医師5人と一般医師5人が、初診時に記入された調査票(性別、年齢、アレルギー歴を含む既往歴、生活歴、症状、職業関連情報、生活状況)、問診内容を読んで独立して判定した結果を比べた。

患者の対象は2001年5月から2003年6月の約2年間にシックハウス症候群ないし化学物質過敏症の疑いで北里研究所病院を受診した214人(男性59人、女性155人)である。

その結果、2型が最も多く5割をしめ、3型が3割、4型が13%、1型が6%で分類不能も1人見られた。

また熟練医師と一般医師の判定は概ね一致していたが、熟練医師、一般医師それぞれの5人全員一致を以って判定された患者の割合は、各医師とも30%未満であった。

したがって、シックハウス症候群になじみのない医師でもある程度、熟練医とほぼ同じ程度臨床分類を行うことが可能であると考えられた。 ※非包含関係要
図1.シックハウス症候群に関する概念整理:要因・機序・場所による分類

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・表1.臨床分類

分類の基準

1型
化学物質による中毒症状
農薬などの中毒
2型
化学物質曝露の可能性が大きい
新築、改装、改築、身の回りの化学物質
3型
化学物質曝露は考えにくい
精神・心理的要因
4型
アレルギー疾患や他の身体的疾患が出現