アレルギー疾患対策の現状と問題点2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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(ウ)個別疾患ごとの状況
○気管支喘息
小児での有症率は2005~2008年時点で、6~7歳で13.8%、13-14歳で9.5%、16-18歳で8.3%、幼稚園児での喘鳴有症率は19.9%である(厚生労働科学研究赤澤班 2010報告書)。

気管支喘息は小児、成人ともにここ10~20年間で急増している(アレルギー疾患診断治療ガイドライン2010)。

小児喘息はここ20年で約3倍の増加を示し、2002年までは少なくとも急増していたが(アレルギー疾患診断治療ガイドライン2010)、2005年以降の調査で横ばいから微増にとどまったとする報告がある(厚生労働科学研究 赤澤班2010報告書)。

今後の経時的調査が必要である。

成人(20~44歳)における国内初の全国11箇所大規模疫学調査(2006年調査)では、喘息有病率は5.4%、最近1年間の喘鳴症状のある喘息有症率は9.4%であった(厚生労働科学研究赤澤班 2010報告書、およびFukutomi et al. 153 280-287; 2010 IAAI)。

経年的調査研究は、大規模な研究はないものの、定点調査(静岡県藤枝市)において、医師により診断された喘息有病率は、1985年が2.1%(中川ら)、1999年が3.9%(大田ら)、2005年が6.9%と急増している(Fukutomi et al. AI 2011)。

今後も正確な経年的な調査が必要である一方、50歳以上における喘息有病率調査は、COPDなどの混入の問題があり、現状では正確な調査が世界的にも困難とされている。

そのため国内でも正確な調査はないが、青年壮年期と比較してやや多い有症率と考えられている。
以上、国民全体では少なくとも約800万人が気管支喘息に罹患していると考えられる。
○アレルギー性鼻炎・花粉症
花粉症は世界的に、特に先進国において増加している。

通年性アレルギー性鼻炎は、室内アレルゲン(ハウスダスト、ダニ、ペット、真菌など)が主な原因であるが、季節性鼻アレルギー、特に花粉症は花粉抗原が原因となるため、国内でも地域差が大きい。

2005年に行われたECRHSを用いた全国疫学調査では、花粉症を含む鼻アレルギーの頻度は成人で47.2%であった(厚生労働科学研究赤澤班 2010報告書)。

2010年に行われた全国Web調査でも(対象:全国約4万人の20歳から44歳の県庁所在地住民)、47.2%であった(厚生労働科学研究赤澤班 2011報告書)。

全国の耳鼻科医とその家族におけるアレルギー性鼻炎有病率調査において、1998年と2008年の比較では、アレルギー鼻炎全体は29.8%から39.4%に増加、スギ花粉症も16.2%から26.5%に増加している(鼻アレルギー診療ガイドライン2009)。通年性鼻炎は若年層に多く、一方、スギ花粉症は若年から中年層に幅広く認められるが、近年では小児期の発症が目立っている。
以上、スギ花粉症を含むアレルギー性鼻炎は、国民の40%以上が罹患していると考えられ、今後も増加することが予想される。