室内環境関連発表内容【2008年度】5 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・ノロ代替ウイルスを用いた空気感染経路の検証

 ノロウイルス感染経路の一つに,おう吐物の残渣を介する空気感染が疑われる事例が見られるようになった.

おう吐時に飛散した吐物の残渣が乾燥し,歩行等で再飛散し二次感染を引き起こすと考えられる経路である.

そこで,ノロウイルスの代替としてネコカリシウイルス(FCV)を用い,おう吐物の飛散範囲及び吐物残渣の再飛散について実験を行い,感染経路を検証した.
 飛散範囲を測定するため,FCVを含む模擬おう吐物を1mの高さから自然落下させたところ,落下点から半径約1mにおいてFCVを検出した.

また,床材の上にFCV液を滴下・乾燥させ,その床材を靴で叩いた結果,空気中からFCVを検出した.

以上の結果から,ウイルスを含むおう吐物の消毒処理範囲が不十分な場合,乾燥した吐物残渣が再飛散し,二次感染を招く可能性があることが分かった.


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新築住宅室内のペンタン発生源調査

 竣工後約1ヵ月の新築未入居マンションにおいて室内空気を測定したところ,リビングからペンタンが高濃度(1,007μg/m3)に検出されたため,その発生源を調査した.
 調査の結果,ペンタンは床から発生していることが判明した.当該リビングには床暖房の設備があり,測定時に床暖房を稼動していたことから,床暖房に用いられている断熱用発泡ポリスチレンのMSDSを調査したところ,製造時に発泡剤として使用されたブタン(沸点-0.5℃),ペンタン(沸点36℃)を5%程度含有していることが確認された.

したがって,床暖房稼動により断熱材が加温され,その結果,断熱材中に残留していたペンタンが急速に揮発して室内を汚染したものと推察された.


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理美容所における高濃度VOCの傾向と発生源の推定

 理美容所ではシャンプー,リンス,ヘアスプレーなど多くの揮発性有機化合物 (VOC)を含む製品が使用されている.

しかし,現状では,理美容所における室内VOCの濃度に関する報告は少ない.

そこで,理容所12ヶ所,美容所9ヶ所において営業時間中の室内空気中化学物質を調査した.
 理美容所で共通して高濃度に検出された物質はエタノールであった(中央値 約 2mg/m3).この原因としては,理美容所の多くがアルコール消毒剤を使用していたためと考えられた.

その他に,最大値が1mg/m3以上の高濃度で検出された物質は,イソプロピルアルコール(1.9mg/m3),ブタン(32mg/m3),デカメチルシクロペンタシロキサン(3.6mg/m3)であった.

なお,これら3物質の濃度は,理容所よりも美容所で高濃度になる傾向がみられた.