「スパイスを職業上使用することによって惹起されたアレルギー性接触皮膚炎」
仕出し屋やレストランなど食物に多く接する職場で働く人達は,食物(スパイスを含む)に対する1型(即時型)とIV型(遅延型)のアレルギーになりやすい.Croninの報告によると,?型アレルギーを起こしやすい食品は,魚,トマト,メロン,ニンジン,キュウリ,レタス,ジャガイモ,クレソン,オレンジ,ピーマン,タマネギ,ニンニクなどであり,IV型を起こしやすい食品は,ニンニク,タマネギ,ニシン,インゲン豆,サクランボ,ニンジン,トウガラシ,トマトなどである.
スパイスによるアレルギーの報告はこれらに比べ少ない.
この論文では1991年~1995年に渡る5年間に,約1000人の職業性の皮膚疾患患者について調べた結果,5人がスパイスに対して職業的アレルギー性接触皮膚炎(IV型)を示した.
この5人全員が手あるいは指先の皮膚炎を示していた.原因物質はニンニク,シナモン,ショウガ,オールスパイス(ピーマン由来)およびクローブ(丁子)であった.
彼等はまたトマト,レタス,ニンジンでもアレルギー性接触皮膚炎を示した.5人のうち2人はパプリカ(ピーマン)に対しても弱い感作性を示した.
スパイスによるアレルギー性接触皮膚炎の発症は比較的まれであるが,食物に多く接触する職業の人たちのうちで手指の皮膚炎を起こしている人には,スパイスをそのまま貼り付けるパッチテストが有用である.
しかし,原因物質を特定したり,アレルギー性接触皮膚炎かどうかを確定するには,予想される原因物質の希釈系列を用いたパッチテストが必要である.
また,特に IgE を介した即時型アレルギーであるかどうかを調べるためには,プリックテストも実施すべきであろう.