ヒトの紫外線被曝における体のサイズと向きによる差 | 化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 電磁波過敏症 シックスクール問題を中心としたブログです

・出典:食品・薬品安全性研究ニュース
http://www.jpha.or.jp/jpha/jphanews/anzen_news/13.html#6
第13号
・「紫外線被爆の影響の評価:ヒトの紫外線被曝における体のサイズと向きによる差」
 オゾン層が減少し,地上のUVBが増加していることは既に観測されている.これらのUVBの増加により,ヒトの健康上問題な紅斑,眼結膜炎,光線性過敏症,長期作用の結果である皮膚癌の発生が憂慮される.
 ヒトに対するUVの影響の調査では,一人々々のUV被曝量の測定が求められるが,今までの数多くの論文では体格や向きによる差が考慮されていない.そこで,この研究では,全身に対するUV被曝の定量的測定法を開発し,体のサイズと向きによるUV被曝の差を調査した.
 測定はUVとUVBEについてポリサルフォン線量計を用い,それをサイズおよび形の異なる長四角形のヒトの体のモデルに1体につき17箇所取りつけ,さらに,方位(東西南北)と高さにも変化をもたせて地上に設置し,全身に対する総被曝量をそれぞれ算出した.

また,周囲露光量を IL 1400ラジオメータにより求め,周囲露光量に対する全身被曝量の比を求めた.
 UVとUVBEの全身被曝の測定結果において,異なった体のサイズおよび形により有意差が認められたが,方位,高さ(モデルの設置の高さ)および身長(モデルの長さ)は全身被曝量に影響を及ぼさなかった.

初秋と晩秋のUVBE被曝量を比較すると,同じ方位の同じサイズのモデルによる全身被曝量では晩秋は初秋の29%まで減少したのに対し,周囲露光量では45%にしか減少しなかった.

同様に,朝と昼のUVBE被曝量を比較すると,全身被曝量では朝は昼の31%まで減少したが,周囲露光量では54%にしか減少しなかった.
 UVBEの測定結果より,周囲露光量に対する全身被曝量の比は,0.24~0.61と範囲が広く,そのうち,昼のような太陽の高度が高い期間ではその比が低かった.

また,ヒトの体のモデルの各面の被曝量を,方位別に3日間測定したところ,直接日が当たる面がもちろん最も多く被曝したが,陰の面も日が当たる面の20~41%被曝していた.

しかし,いずれにしても,これらの測定値の範囲は広く,それは太陽高度,太陽光照射角度,雲の有無,大気の透過特性,反射物,表土といった様々な要因が複合的に関与していることによる.今回の調査により,周囲露光量と全身被曝量に差異があることがクローズアップされた.

それと同時に,ラジオメータや線量計を用い,1箇所で1回だけ測定した結果を信じて,それと実際の紫外線被曝量とを関連づけるのは困難であることが明らかになった.

注)UVB:Ultraviolet ray B (波長:290-320 nm)
  UVBE:Erythermal biological effective ultraviolet ray (皮膚に紅斑を生じる紫外線量)