・一般演題
薬物アレルギー3
座長:藤本和久(日本医科大学千葉北総病院皮膚科)
429.下部消化管内視鏡検査時に生じたオルトフタルアルデヒドによるアナフィラキシーショックを疑った2例
清水秀樹1) 足立厚子2) 堀川達弥3)
神戸労災病院 皮膚科1) 兵庫県立加古川病院 皮膚科2) 神戸大学 皮膚科3)
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【症例1】80歳,男性.下部消化管内視鏡検査直後よりショック症状が生じた.【症例2】66歳,男性.下部消化管検査中にショック症状が生じた.
【結果】処置時に用いたラテックス,エコーゼリー,フルニトラゼパム,ジメリルポリシロキサンによるプリックテスト,皮内テストは症例1・2ともに陰性.
症例1で内視鏡の消毒剤であるオルトフタルアルデヒド製剤でのプリックテストでは,製剤のas is・10倍希釈液にて陽性であった.
健常人3人では陰性.オルトフタルアルデヒドはフタル酸をアルデヒド化したものであり,無水フタル酸の特異的IgEは症例1では52.0UA/ml・症例2では0.55UA/mlと高値を示していた.
【考察】自験2例を軟性内視鏡の消毒に用いたオルトフタルアルデヒドによるアナフィラキシーショックであると考えた.
軟性内視鏡の消毒には従来,器具・装置を腐食変質させることがほとんどないグルタルアルデヒド製剤が用いられていたが,グルタルアルデヒドに比べて臭いがなく,短時間で消毒を行うことが可能であることからオルトフタルアルデヒドが頻用されはじめている.
今後同剤によるアナフィラキシーショックなどの症例が増加する可能性が懸念され,注意が必要であると考えた.
第56回日本アレルギー学会秋季学術大会 2006年11月開催