・懸念されるリサイクル被曝
国土交通省とはリサイクルについて議論になった。
5月1日に福島で下水汚泥から1kgあたり44万ベクレルを超える高濃度の放射性物質が検出されて以来、下水処理によって発生する下水汚泥や水道施設から発生する上水汚泥などから次々と高濃度の放射性物質が見つかっている。
前出・原子力安全委員会の丸山氏は「(上下水道などの)脱水汚泥はクリアランスレベル以下と確認するといわれておる。
基本的にそういう対応がされると思っています」との見解を示す。
ところが、原子力安全対策本部が5月12日に公表した「福島県内の下水処理の副次産物の当面の取り扱いに関する考え方」によれば、この段階でもっとも放射能汚染が高かったセメントの約2倍の放射能濃度(1kgあたり1000ベクレル)の製品が壁材に利用された場合、子どもの年間の外部被曝量が362マイクロシーベルトになるとの試算結果を明らかにしている。
つまり、この放射能汚染セメントは1kgあたり約500ベクレルの放射能濃度であり、これが壁材に使われれば、年間に181マイクロシーベルトの被曝があり得るということだ。
年間10マイクロシーベルトのクリアランスレベルには明らかに合致しない製品なのである。
にもかかわらず、原子力安全対策本部は以下のように評価する。
〈これは、平常時に原子力施設が公衆に与える被ばく限度である1ミリシーベルト/年を下回るものであり、このセメントにより放射性物質を含むことによる健康への影響が起こることは考えがたい〉
しかも放射能汚染セメントが実際に利用されていたにもかかわらず、この結果を根拠に国側は不問にし、いまに至るまで回収などの措置をとっていない。明らかに自らの出した方針に反する結果を放置しているわけだ。
筆者がこの件を「ダブルスタンダードではないか」と指摘したところ、国交省下水道部下水道企画課の加藤裕之・下水道事業調整官は「一部流通してしまったということは確かにあった。
それは利用してしまったんですが、同じセメントがサンプルとして残っていたので、分析したところ、一定のシナリオのもとでは安全であると個別評価をした」との考えを示した。直ちに生命の危険はない、というわけだ。
だが、自らが示した基準に合致していないのは間違いない。
ところが、原子力災害対策本部の布田氏は、国交省の対応について、「我々が出した考え方に沿って適切な対応していると考えております」と言ってのけた。
会場からは「おかしいじゃない」「そんなはずないでしょ」と異論の声が上がった。結局この件についても、明らかに説明できないにもかかわらず、「問題ない」との立場を崩すことはなかった。
runより:私は素人ですが、放射性物質のガレキをセメントにしたら全国に放射能汚染が広がるのではないか?と思ってました。
プロは当然分かっているはず、もう少しまともに考えてほしい。
道はあるはずだ!