:電磁スモッグは健康に有害か
高密度の非電離放射線が健康に有害であることは、科学的に立証されており異論がないが、人々がそれほど強烈な放射に曝露することは労働災害を例外とすれば決してない。
しかし生物学的効果は、国際的に勧告された基準値よりずっと低い水準であっても起こりうる。
そういう効果がどれほど有害であるかは科学者にもわからないので、何らかの予防措置を講じることが推奨される。
低周波数放射の影響
鳥類や魚類など多くの動物とは異なり、ヒトは電場あるいは磁場を知覚する器官を持っていない。
われわれにできるのはせいぜい、それを間接的に探知することぐらいである。たとえば、高圧電線の真下に立つと、うずくような衝撃を皮膚に感じるという人がいる。
その場合、変動する電場が体毛を振動させ、それが衝撃として感じられるのである。
この効果は不快なものと感じられるかもしれないが、何ら健康への危険を意味するものではない。
神経と筋肉の刺激
より強烈な電磁場が健康に有害であることは知られているが、日常生活でそのような場に曝露することは通常はない。
たとえば、10000 マイクロテスラを超える極度に強烈な磁場は、神経・筋肉細胞の機能不全を起こしうる。
それほど強い磁場は、人体の臓器に電流を生じさせて、望ましくない神経の興奮や筋肉の収縮を起こす。
また心臓が1000000マイクロテスラを超える極端な磁場に曝されれば、生命をも脅かす心筋の痙攣が起こりうる。
神経や筋肉へのこのような影響は刺激効果といわれている。
そのような効果は、科学的に立証されており、国際的な防護基準値を決めるための基礎にもなっている。
そういう基準値を超えないかぎり、神経・筋肉細胞の機能不全が、低周波数場によって惹起されることはない。
基準値以下の効果
しかし多くの研究が示すところによると、場の強度が国際的に決定された基準値以下であっても、生物学的な反応が起こりうる。
そのような反応は、「基準値以下の効果」と呼ばれている。 動物と人間を対象とする実験により、行動の変化、学習能力への介入および内分泌系への影響がみいだされている。
たとえば、メラトニンというホルモンの産出が通常より低下することがわかっている。
メラトニンは、生物時計を調整し、免疫機構を刺激し、腫瘍の成長を抑制する。
メラトニンの不足は、不眠・疲労および抑鬱に関連する。
これまでの研究によって、細胞の成長・代謝への影響や、遺伝物質の変化など、低周波数場のさまざまな影響が知られている。
「基準値以下の効果」が存在することには異論がないが、どのようにしてそれが起こるのかは知られていない。
現在の知識を前提にするかぎり、そういう効果が健康への危険を意味しているのか、そうだとすればいかなる条件下で起こりえるのか、を述べるのは難しい。
runより:メラトニンというホルモンの産出が通常より低下・・・化学物質過敏症と併発しやすい理由かもしれない。