・中外製薬HPより
薬物アレルギーとは
アレルギーとは
人間には、自分の細胞と外から侵入した異物とを区別し、異物を排除しようとする免疫機能が備わっています。
しかし、この免疫機能が過度に反応すると、時には人体にとって有害な症状を起こします。
これをアレルギーといいます。原因となる物質(アレルゲン)はダニ、花粉、ペットの毛、食物などさまざまですが、薬も人によってはアレルゲンとなる場合があります。
主な薬物アレルギー
薬の多くは分子量が小さいことから、一般的にはアレルギーは起こしにくいとされていますが、まれに起こすことがあります。
人体から抽出したもの以外を使った分子量の大きな薬は、アレルギーを起こしやすいといわれています。
◆薬物アレルギーの主な症状
症状として多いものは、発疹、皮膚や目のかゆみなど。
検査の結果により肝障害、血液障害などがわかることもあります。
気管支喘息や、最も重症であるアナフィラキシーショックを起こすこともあります。
アナフィラキシーショックは、全身に起こる急性アレルギー反応で、急激に血圧が下がり、呼吸困難に陥って意識を失うこともあります。
◆薬物アレルギーを起こしやすいくすり
抗生物質、特にペニシリン系やセフェム系の薬を使用した場合に、なんらかのアレルギー反応がみられることが多く、鎮痛剤や非ステロイド抗炎症薬、ホルモン剤、酵素製剤、造影剤などでもアレルギーを起こしやすいといわれています。
薬物アレルギーが疑われる場合、はじめは軽症に見えても重篤化することがあるので、すぐに医師・薬剤師に相談しましょう。
薬物アレルギーの治療法
軽症の場合は、疑われる薬剤を中止するだけで症状が消えることがほとんどです。
症状が強い場合、気管支喘息には気管支拡張薬などの喘息治療剤、皮膚の発疹には抗ヒスタミン剤など、それぞれの症状に合わせた治療が行われます。アナフィラキシーショックの場合には、早急な処置が求められ、アドレナリンなどの昇圧剤、輸液、抗ヒスタミン剤、副腎皮質ステロイド剤などの注射が行われます。
薬物アレルギーを防ぐには
一度、薬物アレルギーを起こすと体内にその薬に対する抗体ができるため、同じような薬を飲んだ時でもアレルギーを起こしてしまいます。
薬物アレルギーを起こした場合は、たとえ軽症でもその薬の名前を覚えておき、必ず医師・薬剤師に伝えましょう。
また、アレルギーは同じ体質の人にも起こりやすいので、家族にアレルギーがある場合にも、医師・薬剤師に伝えましょう。
薬だけでなく、卵、牛乳などにアレルギーのある人は、それらが含まれた薬に注意が必要です。
消炎酵素剤の塩化リゾチームには卵が、下痢止めのタンニン酸アルブミンには牛乳が含まれている場合があります。
監修:
慶應義塾大学 薬学部 医薬品情報学講座
教授 望月 眞弓先生