大震災と化学物質:より詳しく11-2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・実際、上部機関に報告されていない発症例はかなりあるようだ。

岩手県のある民宿経営者は、こんな語をする。
「友人が瓦礫の片付けをしていた時、釘を踏んだ。

さして気にもとめなかったが、数日後にはズポンがパンパンになるほど足が腫れあがり、病院で破傷風と診断された。

もう一人、知り合いの奥さんはガラスで手を切って、やはり破傷風といわれた。あちこちで同じことを聞いた。

みんな、片付け恐怖症に陥っている」
 日本では、幼児期に受ける3種混合ワクチンに破傷風ワクチンが含まれているが、抗体を維持できるのは10年程度で、大半の大人は薗に感染すれば発症の危険がある。

また、3種混合ワクチンの接種を受けていない子供は、致死率の高さからさらに危ない。
 近年、接種率はほぼ100%だが、45歳以上の世代では抗体保有率が1~3割程度であり、10代後半の世代も8割台と低い。

ツツガムシ病は"災害病"
 破傷風とともに衛生環境や瓦礫撤去などにより危険が増すのがガス壊疽(えそ)だ。
 同じく土の中に潜むクロストリジウム属細菌によって引き起こされ、感染部の激しい痛み、水癌などが特徴で、治療を受けなければ48時間以内に死亡する。

手足の感染では1割強、胴体ならば7割弱が死亡するとされる恐ろしい病気だ。
 治療は、壌死した部分の除去・切断、大量の抗生物質投与などだが、やはり対処できる医療機関は限られるので、被災地で大量に患者が出ればお手上げだ。
 幸いなことに今のところガス壊疽の報告例はないが、破傷風の発症が激増していることを考えると、いつ患者が出てもおかしくない。
 これから梅雨になって衛生環境がさらに悪くなり、その後に夏を迎える。

すでに被災地ではその兆候があるが、動物の死体などを根城に、ハエや蚊、ネズミが大量発生することは避けようがない。

それら病原体を媒介するものを衛生動物と呼ぶが、それにより感染爆発が心配されるのは、レプトスピラ症、ハンタウイルス症、発疹チフスなど。さらに日本でもかつて大流行が起きたコレラ、ペストなども動物感染する致死率の高い病気だ。蚊が媒介する日本脳炎も怖い。
 3月下旬には福島県でツツガムシ病が報告された。
 高熱や発疹が特徴で、重症例では死亡する。

ネズミに寄生するダニの一種であるツツガムシが媒介する病気であり、洪水や土砂災害の後に患者が急増することで知られる"災害"である。
 神経質になりすぎることはよくないが、このまま手をこまぬいていれば大変な事態を招く。静岡県立大学の内藤博敬・助教がいう。
「腐敗物そのものより、衛生動物をどう管理していくかがこの夏の課題です。ハエ、ゴキブリ、ネズミなどが特に問題を起こす。何の感染症が起きやすいかと聞かれれば、『すべて』ということになる」
 そうでなくとも被災者は不安や不満を募らせている。
 感染症の大量発生が、どんなパニックを招くかわからない。

特に、人から人に感染する伝染病が流行すれば、ようやく回復してきたコミュニティが再びズタズタになりかねない。
 先に破傷風が10例報告されていると述べたが、宮城県によれば、5月8日までに結核が42例、報告されている。空気感染する病気だけに、避難所のような場所で感染者が出れば封じ込めが難しい。

実際、ある避難所で高齢者の結核患者が発見された。
 感染拡大が報告されていないことは不幸中の幸いである。
 避難所の伝染病リスクは説明を要しないだろう。

現に、春先に向けて終息しかけていたインフルエンザが、北東北エリアで再流行の兆しを見せている。
 これは被災地域が発生源ではない可能性が高いが、首都圏で麻疹(はしか)が急増していることにも注意が必要だ。

よく知られるように非常に感染力が強く、しかも重症化する。

被災地近くでも流行し始めているので、これから避難所などで広まれば、医療機関がパニックに陥る危険が高い。
 そして、あちこちの避難所で集団発生が報告されているのがノロウイルス感染症である。

もともとは貝などから感染する病気だが、患者が出ると、その看護者や家族に感染するケースが多く、やはり避難所などは細心の注意が必要になる。
 抗ウイルス剤は効かず、広がってしまうと根絶が難しい。乳幼児や高齢者など低抗力の弱い患者は死に至るケースもある。
 国立感染症研究所感染症情報センターでは、5月9日段階で、被災地・避難所で最も危険な「リスク3」レベルの感染症として、「急性下痢症(ノロウイルスなど)」「急性呼吸器感染症」「インフルエンザ」「麻疹」を挙げる。

「結核」「破傷風」などは、次いで危険な「リスク2」に分類されている。