ストロンチウム-90(90Sr)2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・原発事故による放出
発電炉の運転では、ストロンチウムの放射能の放出はほとんどない。

問題は重大事故である。

炉心が破壊されれば、その中にある大量の放射能が外に放出される。
1986年4月26日に起こった旧ソ連(現、ウクライナ)のチェルノブイリ原発事故では、大量の放射能が放出された。

ストロンチウム-90の放出量は、炉内の存在量がほぼ等しいセシウム-137(30.1年)に比べて小さかった。

名古屋で採取した大気試料の分析によると、ストロンチウム-90/セシウム-137放射能強度比は0.002~0.02の範囲に分布していた。

一方で、発電所周辺または近隣諸国に降下した放射能に含まれるものの放射能強度比は、上の値より高く0.1に達すると報告されている。

このようなことは高温の核燃料の中からセシウム-137よりストロンチウム-90が放出されにくいことと放出された放射能の組成が不均一であることを示している。
放出量が少ないとはいえ現在でもその存在は認められ、事故地点の近くでは河川水などのストロンチウム-90による汚染が知られている。


再処理工場からの放出
再処理では、ストロンチウム-90のみが問題となる。ストロンチウムは揮発性化合物をつくりにくく、排気中には含まれない。

再処理の工程を考えると排水中の放出量もゼロに近くできるはずである。

実際はそうなっていない。フランスのラ・アーグ再処理工場からの2003年の排水中への放出量は、515億ベクレル(5.15×1010Bq)だという。

これは必ずしも低い値ではない。
六ヶ所村工場からの予定放出量について議論するより実績を見るべきである。

放出量は大きくはないが、海産生物に濃縮される恐れがあり、放出は厳重に監視されねばならない。
再処理後に発生するガラス固化体の中に含まれる放射能としては、挙動に注目すべき放射能の一つである。

長期的には、長寿命のアメリシウム-241(241Am、433年)の存在が問題になるが、処分開始から1,000年ほどの間はストロンチウム-90とセシウム-137に注意をはらわねばならない。


放射能の測定
 水試料では、ストロンチウムを分離し、1週間以上経過後に生まれてくるイットリウム-90を分離し、ベータ線を測定するのがふつうの方法である。

生物試料では、有機物を分解して溶液にした後に、同様の操作をおこなう。

放射線測定には液体シンシレーション計数装置またはバックグラウンドの低いガイガー計数装置を用いる。

体内にある量を知るには、排泄物中の放射能を測るバイオアッセイを用いる。



放射線エネルギー(100万電子ボルト) ベータ線、0.546(100%)
比放射能(ベクレル/g) 5.0×1012
排気中又は空気中濃度限度(チタン酸ストロンチウム以外の化合物、ベクレル/cm3) 5×10-6
排液中又は排水中濃度限度(チタン酸ストロンチウム以外の化合物、ベクレル/cm3) 3×10-2
吸入摂取した場合の実効線量係数(チタン酸ストロンチウム以外の化合物、ミリシーベルト/ベクレル) 3.0×10-5
吸入摂取した場合の実効線量係数(チタン酸ストロンチウム、ミリシーベルト/ベクレル) 7.7×10-5
経口摂取した場合の実効線量係数(チタン酸ストロンチウム以外の化合物、ミリシーベルト/ベクレル) 2.8×10-5
経口摂取した場合の実効線量係数(チタン酸ストロンチウム、ミリシーベルト/ベクレル) 2.7×10-6

《古川路明》