・なお、自閉症の症状は人によってかなり異なり、以下の特徴が当てはまらない場合もある。
DSMの診断基準 [編集]DSMの診断基準に挙げられている症状は次の通り。
コミュニケーションにおける質的な障害
視線の相対・顔の表情・体の姿勢・身振り等、非言語行動がうまく使えない。
(例)会話をしていても目線が合わない。
叱られているのに、笑っている。
発達の水準にふさわしい仲間関係が作れない。
興味のあるものを見せたり指さしたりする等、楽しみ・興味・成果を他人と自発的に共有しようとしない。
対人的または情緒的な相互性に欠ける。
(例)初対面の人に対する無関心。
意思伝達の質的な障害
話し言葉の発達に遅れがある。
または全く話し言葉がない。
(例)クレーン現象[9]
言語能力があっても、他人と会話をし続けることが難しい。
(例)一問一答の会話になってしまう。
長文で会話ができない。
同じ言葉をいつも繰り返し発したり、独特な言葉を発する。
(例)人と会話をする際に同じ返事や会話を何度もする。
発達の水準にふさわしい、変化に富んだ『ごっこ遊び』や社会性を持った『物まね遊び』ができない。
限定され、いつも同じような形で繰り返される行動・興味・活動(いわゆる「こだわり」)
非常に強く、常に繰り返される決められた形の一つ(もしくはいくつか)の興味にだけ熱中する。
(例)特定の物、行動などに対する強い執着心。
特定の機能的でない習慣・儀式にかたくなにこだわる。
(例)物を規則正しく並べる行動[10]。
(例)水道の蛇口を何度も開け閉めする行動。
常同的で反復的な衒奇(げんき)的運動物体の一部に持続的に熱中する。
(例)おもちゃや本物の自動車の車輪・理髪店の回転塔・換気扇など、回転するものへの強い興味。
(例)手をヒラヒラする。体を前後に揺らす(ロッキング)。
その他の特徴 [編集]数字や風景など、特定のものに対する高い記憶能力。
ある特定の音、光、におい、触覚に対する強い不快感。
客観性を持たない文章。または、事実だけを羅列した文章を書くこと。
視覚の優位性 [編集]自閉症児者は、耳で聞くよりも眼で見るほうが認識しやすいという視覚優位の特性がある。
このため、自閉症児に注意を与える時は紙などに書いて見せると効果があるとされる[11]。
ただし、高機能自閉症及びアスペルガー症候群の中には、目で見た情報がかえって伝わりにくい場合もある(各個の症状の出方による。
高機能自閉症及びアスペルガー症候群でも視覚優位特性があるケースもある)。
心の理論 [編集]心の理論とは、「自己と他者の識別、自分や他者の心の動きを推測する能力」のことであり、自閉症者はこの「心の理論」において障害があるため、相互の人間関係に疎い、会話やその場の雰囲気を理解出来ない、冗談を冗談と受け止めず真に受けてしまう、言外の意味を捉えられないなど、対人関係に問題を生じやすい。
これは知的障害がない高機能自閉症においてもあてはまり、やはり対人関係に問題を生じるケースがある。
また、他人のする事を自分の立場に置き換えられずにそのまま真似するため、手のひらを自分側に向けてバイバイする。
言語においても同様に相手の言葉を自分に置き換えて返答することが苦手で自分の事を「あなた」などの二人称で、相手の事を「わたし」などの一人称で呼んだりすることや、自分に対して「~してあげようか」と聞かれると「~してあげたい」等と返答したり、オウム返しなどの現象が見られる。
心の理論の能力を調べる検査として、「サリーとアン課題」などがある。
時間の概念形成の未発達 [編集]他の例として時間の「概念」が希薄な場合もある。時計で時間が分かるような自閉症児者のなかには、時間に強迫的になり全ての事柄がまさにその定められていた瞬間に起こる事を要求する例がみられる事がある。
(例)「5分待っていて」と約束したのに6分17秒も待たせたと被害感を持つ。
(例)逆に4分20秒で戻れば、まだ5分経っていないので待ち続ける。
このような症状がある場合でも施設を利用出来るよう、ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートでは、提示する事により待ち時間を0にするホワイトカードと呼ばれるサービスが行われているように、比較的認知された症例である。