・旭川市公共建築物室内空気汚染対策指針 関連マニュアル 別冊
*市立小・中・高等学校におけるシックスクール対策マニュアル
化学物質から児童生徒を守り,安全で安心できる学習環境を目指すために
平成21年7月
旭川市教育委員会学校教育部
も く じ(割愛)
シックスクールの基礎知識
学校生活における学習環境には,食品・教材・施設・備品などに5万種類以上の様々な化学物質が存在し,室内の空気には100種類もの化学物質が含まれているといわれている。
1970年代の石油ショックを契機とし,住宅の高気密・高断熱化の進行と相まって,室内における有害な化学物質の高濃度化が進み,多量の化学物質にさらされることにより,健康への影響が引き起こされ,その症状なども多岐にわたり多種多様である。
その健康への影響から児童生徒を守るため,正しい知識を理解し,より的確な対応が求められているところである。
本市においては,「旭川市公共建築物室内空気汚染対策指針」(以下「対策指針」という。)を策定し,そのマニュアル編として,学校における室内空気汚染対策を進めるため,関係者・関係機関に意見を求めながら,これらの影響から児童生徒を守り,安心できる学習環境づくりを進めるため,市教委はもちろん,学校職員が等しく共通の認識を持ち,正確な情報による適切な措置が講じられるよう,本編を作成したところである。
化学物質過敏症*はまだ不明な点が多く,厚生労働省でも研究・検討を進めている段階ではあるが,極めて微量な化学物質により健康への影響が引き起こされているのは現実であり,子供は大人より体が小さく,食事の量・呼吸量などは少ないが,体重1kg当たりで比較すると,大人の倍以上の影響を受けやすいと言われている。
成長期の児童生徒の神経・内分泌などへの影響はまだ解明はされていないが,アレルギー性の疾患を有する児童生徒が最近増えており,化学物質による症状の誘発などが報告されていることから,安全で安心して学習できる生活環境を提供し,化学物質の削減と,一人ひとりの児童生徒に配慮した対策を講じることが必要である。
1 シックスクール症候群とは
シックビル症候群やシックハウス症候群*とは,建物の新築・改築・改修等により移転後数箇月以内に,建材・塗料等の施工材及び家具などに由来したホルムアルデヒド*及び揮発性有機化合物による室内空気汚染によって,目や気道粘膜の刺激症状や頭痛などの様々な体調不良を起こすもので,当該建築物以外ではその症状は和らぐが,再度,当該建築物に入ると症状が再発する症状をいい,特に学校の新築・改築等の際に,化学物質により発症するものをシックスクール症候群という。
換気対策等を十分に講じ,時間経過とともに原因物質の濃度が低減すれば,通常の学校生活は可能であり,症状の改善も図ることが可能である。
シックスクール症候群は,学校建築関連で発生する健康への影響についての総称であり,主に化学物質を誘発物質として発生するが,ケース・場所により次のものが考えられる。
① 新築・改修関連の揮発性化学物質
② 保健・清掃関係の薬品,ワックス,洗剤,漂白剤,スプレー剤,防虫剤(農薬)等
③ 授業や行事で使用されるもの(教科書のインクやのりからの揮発物質,食品添加物、版木や墨汁,絵の具,理科薬品,技術科での塗料・接着剤,プールの塩素,パソコンの可塑剤*など,畳やカーテン,じゅうたんの防虫剤・難燃剤等)
④ 児童生徒や学校職員・保護者が校外から持ち込むもの(化粧品,揮発性ペン,たばこ,形状記憶のワイシャツ等)
⑤ 学校周辺からの侵入物質(建築現場からの揮発性化学物質,排気ガス,農薬等)
⑥ 校内におけるダニ・カビ・ダスト,二酸化炭素,窒素酸化物,温湿度等