・wikipediaより
ナルコレプシー(narcolepsy)とは、日中において場所や状況を選ばず起きる強い眠気の発作を主な症状とする脳疾患(睡眠障害)である。
概要笑い、喜び、怒りなどの感情が誘因となる情動脱力発作(カタプレキシー)を伴う患者も多いが、その症状が無い患者もいる[1]。
通常であればノンレム期を経た後で発生するレム睡眠が入眠直後に発生する、入眠時レム睡眠期(SOREMP)が出現するため、入眠時に金縛り・幻覚・幻聴の症状が発生する。
更に夜間はレム睡眠とノンレム睡眠の切り替わりで中途覚醒を起こすため、目は覚めても体を動かそうとする脳の一部が眠っているために金縛りを体験することになる。
入眠後から起床時までは、そのような状況のため概して睡眠が浅くなりやすくなり、夢を見る回数が増える。
ほとんどが悪夢で、現実とリアルな夢の境目が分からずにうなされる場合が多い。
ナルコレプシーは、睡眠障害の研究・治療が行われていく課程で、イギリス人医師トーマス・ウィリス(Thomas Willis)によって最初の報告がされ[2]、1880年にフランスの医師ジャン=バティスト=エドゥアール・ジェリノー(Jean-Baptiste-Edouard Gelineau)によって名付けられた。直訳としては「Narco=眠り」「Lepsie=発作」を意味するため、「眠り発作」となる[3]。
日本では周囲から見た患者の様子から「居眠り病」「過眠症」とも呼ばれる事があるが、他の傾眠傾向の睡眠障害(睡眠時無呼吸症候群など)を一括りに扱うそのような病名は適切ではない。
このように一般への知名度が極めて低いうえ、専門医が少ないため、罹患者に対する正しい診断・治療が受けにくいことや、まわりの人間からの理解が得られないなど、罹患者には精神的にも大きな負担がかかっているのが現状である。
発症期は主に15歳前後が多いが、本病気の症状特性上、病気であること自体に患者本人が気付く場合が少ないため、発症から確定診断までの平均期間が約15年と極めて長期になっている。
そのため、日本ナルコレプシー協会は、社会的認知度向上に向けて2009年より全国の各中学校・各高等学校にむけて『ナルコレプシーとは』とのパンフレットを配布しはじめた。
現在確定診断を受けた患者数は日本国内においておよそ2000人前後(2009年12月現在)であるが、決して珍しい病気ではなく、日本では600人に1人程度(0.16% - 0.18%)[4]は罹患していると想定されている。
また、治療を行っていない状態で、機械や自動車の運転中などに発作が起きると重大な事故の原因となりうるため、早期に適切な治療下のもと、日常生活を送るのに支障をきたすことがないように通院することが望まれる。