・続発性糖尿病 [編集]続発性糖尿病(ぞくはつせいとうにょうびょう、二次性糖尿病)(ICD-10:E13)は、他の疾患によって引き起こされる糖尿病である。
以下に挙げたものは代表的な疾患で、ほかにも原因となる疾患は存在する。
グルカゴンを異常分泌するグルカゴン産生腫瘍
糖質コルチコイド作用が異常増加するクッシング症候群、原発性アルドステロン症
アドレナリンを異常分泌する褐色細胞腫
成長ホルモンを異常分泌する成長ホルモン産生腫瘍(先端巨大症)
肝硬変
慢性膵炎、ヘモクロマトーシス、膵癌
筋緊張性ジストロフィー
薬剤性(サイアザイド系利尿薬、フェニトイン、糖質コルチコイド(ステロイド)など)
妊娠糖尿病 [編集]詳細は「妊娠糖尿病」を参照
妊娠糖尿病は、妊娠中のみ血糖値が異常となる症状をいう。
ICD-10:O24.4、O24.9。2型糖尿病とは異なる病気であることに注意を要する(必ずしも「生活習慣の悪い妊婦」がなるわけではない)。
原因としては、妊娠中に増加するホルモンであるhPLやエストロゲン、プロゲステロンなどがインスリン抵抗性を悪化させることによる。
一般には、出産後に改善する。
一方、もともと糖尿病患者が妊娠した場合は、糖尿病合併妊娠と呼ばれる。
とは言え、もともと糖尿病であったかどうかを完全に確認できているわけではなく、妊娠糖尿病で発症し、分娩後もそのまま糖尿病が治らないこともままある。基本的に食事療法が行われるが、改善しない場合、後述の胎児へのリスクもあり、また飲み薬は催奇形性の懸念があるためインスリン注射療法を行うことになる。
胎児への影響があるため、通常時より厳格な管理を必要とし、六分食やインスリン持続皮下注 (CSII) などを行うこともある。
妊娠糖尿病では先天異常のリスクが高まるが、妊娠初期から正常血糖を保っていれば、通常の妊娠と同等である。
早産も多く、羊水過多、妊娠高血圧症候群の頻度も高いハイリスク妊娠のひとつである。妊娠糖尿病では巨大児になりやすいため、難産になりやすい。
また妊娠糖尿病では中枢神経系よりも身体の発育が良いので、出産のときに頭が通っても肩が通らない肩甲難産になりやすい。
そのため、分娩が長引く場合は帝王切開が良い。
症状 [編集]通常糖尿病患者は自覚症状はないと考えることが多い。しかし、よくよく話を聞いてみると、下記に列挙するような手足のしびれや便秘などが実はあるのだが、特別な症状と考えていないことがある。
血糖値がかなり高くなってくると、口渇・多飲・多尿という明白な典型的症状が生じる。
これらは血糖値が高いということをそのまま反映した症状なので、治療により血糖値が低下するとこれらの症状は収まる。血糖値がさらに高くなると、重篤な糖尿病性昏睡を来たし、意識障害、腹痛などをきたすこともある。いっぽう発症初期の血糖高値のみでこむら返りなどの特異的な神経障害がおこることがある。
また発症初期に急激に血糖値が上昇した場合、体重が減少することが多い(血液中に糖分が多い一方、脂肪細胞などは糖分が枯渇した状態になるためである)。
その他の症状は、たいてい糖尿病慢性期合併症にもとづくものである。
糖尿病性網膜症を発症すると視力が低下する
糖尿病性腎症によって最終的にはむくみや乏尿、全身倦怠感など種々の症状が出現する。
糖尿病性神経障害には2種類あって、末梢神経障害によって手足のしびれなどがおこる一方、自律神経傷害がおこると便秘、立ちくらみ、勃起不全などの原因となる。
糖尿病は皮膚にも糖尿病性リポイド類壊死をはじめとする様々な合併症を引き起こすことがあって、それに伴う症状が出現することがある。
これらのような糖尿病に典型的な合併症に加えて、心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症、脳梗塞も糖尿病においてはきわめて起こりやすいので、それらの病気に由来する症状を起こすことがある。
詳細は「糖尿病慢性期合併症」を参照
症状そのものも重要だが、「あるべき症状を感じないことがある」ことも糖尿病の重要なポイントである。
すなわち、神経障害が起こった状態での心筋梗塞がそれである。心筋梗塞は通常激しい胸痛を伴うので、患者はすぐさま医療機関への受診へと至り治療を行うことになる。
ところが糖尿病がある場合、この重要な警告情報である「胸痛」を感じないことがあって、「無痛性心筋梗塞」と呼ばれる。
これは自覚症状がないので早期の治療を困難にし、知らぬ間に心不全に至ることがある。
同様のこととして、末梢神経障害があるので、手足の先で温度を感じる機能がにぶくなったため、こたつやあんかなどで低温やけどを来すことがある。
この場合、糖尿病はさらに閉塞性動脈硬化症を併発していたりして、手足への血液(これは栄養そのものである)の供給が不十分であると、傷ついた手足の皮膚を修復できず、傷がどんどん広がって巨大な足潰瘍に至り足切断をしなければならなくなる。
検査 [編集]詳細は「糖尿病の検査」を参照
糖尿病の診断や治療効果判定のためには血液検査のほかに様々な検査を行う。また慢性期合併症の治療目的で行われることもある。
診断 [編集]詳細は「糖尿病の診断」を参照
日本では、日本糖尿病学会が2010年7月より新しい診断基準を施行した。(従来の診断基準は1999年に施行されたもの)
新基準では、血糖値だけでなくヘモグロビンA1c(HbA1c)の基準も設けられた。
血糖値(空腹時血糖値、75gOGTT2時間後血糖値、随時血糖値)及びHbA1cの検査結果で判定を行う。
空腹時血糖(mg/dl) 75gOGTT2時間後血糖(mg/dl) 随時血糖値(mg/dl) HbA1c(%)
糖尿病型 126以上 200以上 200以上 6.5%以上(JDS値では6.1%以上)
一回目の判定で糖尿病と診断されるケース
血糖値とHbA1cがともに糖尿病型だった場合
血糖値のみが糖尿病型であり、口渇や多飲、多尿など糖尿病の典型症状や糖尿病性網膜症がみられる場合
二回目の判定で糖尿病と診断されるケース
一回目では血糖値のみが糖尿病型。
二回目で血糖値、HbA1cのいずれか(若しくは両方)が糖尿病型だった場合
一回目ではHbA1cのみが糖尿病型。二回目で血糖値が糖尿病型だった場合
血糖値、HbA1cのいずれかが糖尿病型だったにもかかわらず、上記以外ケースで糖尿病と診断にいたらなかった場合は「糖尿病疑い」とされる。
糖尿病疑いの人は3~6か月以内の再検査が推奨され、その時点で再度判定することになる。
治療 [編集]詳細は「糖尿病の治療」を参照
概要としては以下のとおりである。
糖尿病の治療は分類、または重症度(進行度)によって異なる。
1型糖尿病においては早期から強力なインスリン治療(強化インスリン療法や持続的インスリン皮下注射)を行う。
2型糖尿病に対しては様々なパターンの治療が行われる。
まずは食事療法と運動療法が行われる。これによって血糖値が正常化するならそれで問題はない。
食事療法、運動療法で血糖値が正常化しない、もしくは最初から血糖値が高くてこれらの治療だけでは不十分と考えられるなら経口血糖降下薬あるいはGLP-1受容体作動薬を使用する
経口血糖降下薬あるいはGLP-1受容体作動薬でも血糖値が正常化しないならインスリン自己注射を開始する。ただし、経口血糖降下剤を経由せず、当初からインスリン自己注射を行うという考え方も存在する。
ビオチンが1型、2型ともに糖尿病の治療に効果的であるという研究がある。ビオチン参照のこと
runより;被災地ではインスリン不足が懸念されますが、分けてあげる際には注射器の消毒を徹底してください。