睡眠相後退症候群3 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・ 治療 [編集]DSPSの治療は特殊である。不眠症の治療とは違い、概日リズムの問題をつきとめると共に患者の眠る能力を見極める。

軽度のDSPSでは、望ましい睡眠時刻になるまで、毎日15分ずつ寝起きする時間を早くなるように調節する。

より重度な場合は以下に述べるような方法で治療する。

患者はDSPSの治療を始める前に、一週間昼寝をせずに規則的に最も快適だと感じる時に眠って過ごすように指示される。

患者がよく休養を取った後に治療を開始することが大切なのである。

医学書に報告された治療の中には次のようなものがある。

光療法では、白色光のランプまたは、携帯可能なサンバイザー型の光照射装置を使い、通常10000ルックス(lux)の光を朝30-90分間あびる。

太陽光も利用できる。

朝の仕度の時に、光療法を行うための余分な時間を取る必要がある。

効果が現れるには、数日から2週間かかり、効果を維持するために時々使用を続けるとよい。

夜の強い光を避けることも治療の助けになるかもしれない。
時間治療(chronotherapy)では、毎日5-6時間ずつ眠る時間を遅くすることを、5-6日間続けることで、体内時計を調節する。
光療法と合わせて、少量のメラトニン(約1mg)を眠る1時間程度前に服用すれば、早く眠る習慣をつくるのに役立つかもしれない。

しかし、いくつかの研究では、夜間にメラトニンを服用しても、体内での自然なメラトニン分泌を模擬するだけで効果がないが、昼間に服用することで位相の前進を引き起こすと指摘している。

メラトニンは鎮静剤としてよりむしろ、概日リズムを調節する自然な方法として使用される。

メラトニンの副作用には睡眠の阻害、悪夢、昼間の眠気、うつ病が含まれる。長期的なメラトニン服用の影響は調査されておらず、生産も規制されていない。国によっては、メラトニンは医師の処方によってのみ使用可能か、まったく使用できない。

カナダとアメリカでは、メラトニンは自由に健康補助食品として購入することができる。
大麻はDSPSに対する睡眠補助薬としての使用に成功している。入眠時刻は2つの主要なカンナビノイド、テトラヒドロカンナビノール(THC)とカンナビジオール(CBD)に影響される。

THCはメラトニンの産生を劇的に増加させ[16]、CBDは不眠症患者の睡眠を助けることが示されている[17]。

多量の大麻の使用は レム睡眠のレベル低下と徐波睡眠のレベル上昇、また翌朝の精神機能の低下をもたらす。

しかし、この効果は濃度依存性が高く、5mgのTHCやCBDではこのような効果がないことが示されている[18]。

事例証拠によってインド麻が特に効果的であると示されている。
大量のビタミンB12が入眠時刻を通常にするのに役立つと主張する人もいるが、治療の効果についてはほとんど知られていない。
その他の効果が期待できる治療薬としてラメルテオンがある。

最近、アメリカで承認された新薬で、メラトニンM1受容体アゴニストとして働く。ラメルテオンの生産は、他の処方薬と同様に規制されており、メラトニンサプリメントのように商品によって純度や容量が異なるという問題はない。
中枢神経興奮薬モダフィニルは、アメリカで交代勤務性睡眠障害の治療薬として承認されている。

交代勤務性睡眠障害は、DSPSと共通する特徴がいくつかあり、多くの臨床医がDSPS患者にモダフィニルを処方している。

しかし、モダフィニルはDSPSの原因となる部分に作用するのではなく、単に睡眠不足の患者の生活の質を向上させているだけである。

望ましい入眠時刻前12時間以内の服用は、実際は睡眠覚醒リズムを後退させて症状を悪化させる。
DSPSの治療が、抗うつ薬トラゾドンの処方で成功したという報告が一例ある[19]。
参照: 位相反応曲線

患者が一度、早く眠る習慣を身に付けたら、その後規則正しい睡眠覚醒時刻を厳格に守り、よい睡眠衛生(よりよい睡眠をとるための行動や環境)を保つよう努力することが肝心である。

DSPS患者が「眠くない時に布団に入らないように」と勧められる場合があるが、これに従うと通常早く眠るようにはならない。

また、眠る前にアルコールやカフェインを避けるようにとも助言される。

治療が成功すると、DSPS患者は遅かった時と同様に早い睡眠スケジュールで睡眠し、活動することが出来るようになる。

昼間の覚醒状態を保つため、カフェインなどを含む刺激物をとる必要はない。DSPSの治療で最も難しい点は、一度身に付いた早い睡眠スケジュールを「維持する」ことである。

お祝い事で遅くまで起きていたり、病気で一日中眠っていたりした場合など避けられない事情によって、睡眠スケジュールが再び遅くなってしまう傾向がある。

遅い睡眠時刻への適応 [編集]長期間の治療が成功した割合は、評価されていない。しかし、経験豊かな臨床医は、DSPSを治療することは難しいと認めている。

夜間勤務や、在宅で仕事をする患者にとっては、DSPSは大きな障害とはならない。

このような仕事をしている多くの人は、自分達の生活パターンを「障害」であるとは考えない。

DSPS患者の一部は、夜間の眠気が弱くなるにもかかわらず昼寝をし、時には昼4時間夜4時間の睡眠をとる人さえある。

DSPS患者が働きやすい仕事として、警備員、劇場やマスメディアでの仕事、レストランやホテルでのサービス業、フリーライター、コールセンターでの仕事、看護士、タクシーやトラックの運転手などがある。

何年も治療を続けても、一部のDSPS患者は早い睡眠時刻に適応することができない。睡眠学者は治療不可能なDSPSの症例が存在することを正式に「睡眠覚醒時刻不全障害(注:訳者の造語)(sleep-wake schedule disorder disability, SWSD)」として認識するべきではないかと提唱している。

“ SWSD障害に苦しむ患者には、一生治らない障害を抱えている事実を受け入れ、 リハビリテーションを受けて生活の質が向上させるよう、励ましていくべきだろう。

医師がSWSD障害の病態を認識して発見し、職業教育と社会復帰のための公共の施設に知らせる体制を早急に作るべきである[15]。 ”

DSPS患者のリハビリテーションには、症状を受け入れ、遅い睡眠時刻で許される職業を選択することが含まれる。

ごく少数の学校や大学ではあるが、DSPSの生徒はかれらがよく集中できる時間に試験を受けられるよう調整してもらえる。

DSPSとうつ病 [編集]文献に報告されたDSPSの症例では、約半数の患者がうつ病か、その他の心理的な問題に苦しんでいる。

DSPSとうつ病の関係は不明である。

半数のDSPS患者はうつ病でないことから、DSPSが単にうつ病の一症状ではないことが分かる。時間治療のような治療法はうつ病患者にも効果がある。

DSPSは非常にストレスが多く誤解されている障害であるので、うつ病の主要な原因となることも考えられる。

神経化学的な睡眠とうつ病の直接的な関係が原因である可能性もある。

うつ病にも苦しむDSPS患者は、両方に対する治療を探すべきである。

効果的なDSPSの治療は患者の感情を改善し、抗うつ薬の効力をあげる。

しかも、うつ病の治療によって、患者はDSPSの治療を成功させやすくなるのである。