第5号 ひきこもり 精神科医師 金子 浩二 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・大阪市健康福祉局健康推進部こころの健康センターより


・自分自身で決め、行動すること


 「ひきこもり」が増えていると言われています。

一般的に「ひきこもり」とは、人や社会と関わりが持てずに、自宅などに引きこもる状態を指します。

不登校だけでなく、成人してからも社会参加できない人々が増加しており、今では身近な問題となり、特別なことではなくなってきています。

また、ひきこもる人を「ヒッキー」と呼び、「僕、昔ヒッキーやってん。」「私ってヒッキー主婦だから・・・。」と言う人もいるなど、「ひきこもり」という言葉の持つイメージも大きく変化してきています。

増加の背景には急激な杜会の変化に伴うストレスなどがあげられていますが、今回は「ひきこもり」の中身に焦点を当てて考えていきます。

 精神的な病気を「ひきこもり」の原因としていた昔とは違い、そのきっかけとなることは、「いじめ」などはっきりした誘因を持つものから、特に理由が見あたらないものなど様々です。

ただ、「ひきこもり」が起こった場合に、本人やその家族は当惑し、どうすれば良いのかと苦しんでいる状態になることには変わりがありません。

悲観的に考えてしまうことが多い「ひきこもり」ですが、自らが危険と感じる場所(学校や社会)から、安全な場所(自宅)に避難している状態と捉えることが必要です。

誰だって危険なことから逃げたくなりますし、傷つく体験をすることも嫌なことです。

「ひきこもり」には、そういった状態から身を守る安全装置としての機能を持ち合わせているという視点が大切です。

それは同時に、家族や家庭が「温かさ」「快適さ」を失っていないことをも意味しています。

「ひきこもり」から卒業するためには、外の世界が危険でないと感じるようになることで、安全領域を広げていく作業が重要です。安全であると認識できればひきこもる必要はなくなります。

.出口は日常生活の中に

 「ひきこもり」の張本人からは「自分の家が安全なんてとんでもない。苦しいことばかりだ!」という意見が出てきそうですが、そういった考えを持っている「ヒッキー」ならむしろ大丈夫。

それは外へ向けたエネルギーを持っているという証拠で、きっと自分にあった出口が見つかるはずです。

ただ、残念ながら待っているだけでは、そのエネルギーは、もったいないものになってしまいます。

小さなことからでも、自分で決める(選択する)体験や自分で行動する(責任をとる)体験をすることが何よりも大切です。

こういった行為の積み重ねがそれぞれの安全領域を広げていくことになります。

どれだけ料理のすばらしさを説明されても、実際に美味しさを感じるのは自分自身の舌ですし、いくらお化け屋敷は怖くないと聞かされても、入場するまでは、やっぱりわからないですよね。

体験してみないとわからないことは、たくさんあります。

よく見渡してみると、日常生活の中に多くの出口が隠されていますよ。