・ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議より
http://www.kokumin-kaigi.org/kokumin01.html
ニュースレター 第31号 (2004年10月発行)
・『知らずに使っていませんか?~家庭用品の有害化学物質~』
第一部 基調講演
●『買ってはいけない』が製品を変えた。次は、家庭用品に含まれる有害物質規制法を!
渡辺雄二さん(科学ジャーナリスト)
出版おめでとうございます。
このブックレットは、法律面もびしっと書かれていて、執筆には大変苦労されたことと思います。
『買ってはいけない』は、「週間金曜日」で連載されていたコラムで、これを本にして出版したところ、あれよあれよという間に売れて今では200万部に達するベストセラーになりました。
反論本や関連本もたくさん出て、いわば「買ってはいけない」騒動という社会現象にまでなりました。『買ってはいけない』は、社会的にも非常に大きな反響があり、これで世の中にも少しは変化があったと思います。
例えば、食品では、漬物などに有害な合成着色料が使われなくなり、一部のコンビニエンスストアはお惣菜、お弁当、パンから保存料や合成着色料の使用をやめました。
一方、家庭用品はどうでしょうか。
家庭用品には農薬を使ったものが非常に多くありますが、農薬が家庭用品で使われる場合には農薬取締法では規制されません。
家庭用品に使われる有害物質に対する規制は緩く、ある意味で野放し状態にあります。
家庭用品には多種多様な有害化学物質が使われています。例えば、殺虫剤のバルサンには神経系に影響を与えるペルメトリンという化学物質が含まれています。
他にも、催奇形性、発がん性が指摘されている有害物質を使った殺虫剤などがたくさんあります。
また、最近の抗菌ブームで、抗菌剤や防カビ剤が広く出回っています。
たとえば、殺菌剤入りのボディソープが売られていますが、全身を殺菌することは皮膚の常在菌を殺してしまい、かえって他の菌が入り込みやすい無防備な状態を作ります。
カビキラーやカビ取りハイターは、次亜塩素酸ナトリウムが主成分ですが、これはとても毒性が強く、茶さじ一杯で致死量になります。
次亜塩素酸ナトリウムは、哺乳瓶や乳首の消毒剤のミルトンにも使われています。
ファブリーズなどの消臭剤も、根本的なニオイや汚れをとるわけではなく、高いお金を出して買う必要はないと思います。
何故家庭用品にはこんなにも多くの有害物質が使われているのでしょうか。
原因の一つは、家庭用品に含まれる化学物質の規制があいまいだからです。農薬では農薬取締法、食品では食品衛生法、薬品では薬事法というように、各業界でそれぞれ規制があります。
しかし、消費者業界というものはありません。そのため規制の隙間になっているのです。
家庭用品に含まれる有害化学物質を規制していく法律が必要です。
この点で国民会議に期待します。