・3.ディーゼル自動車排出ガス規制
現在の自動車排出ガス規制は、大気汚染防止法により環境大臣が自動車排出ガス量の許容限度を定め、国土交通大臣はこの許容限度が確保されるよう道路運送車両法に基づく保安基準で自動車排出ガス規制に必要な事項を定めることとなっている。
近年の自動車排出ガス低減対策は、平成8年5月環境庁長官より中央環境審議会に対して「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について」が諮問され、中央環境審議会大気部会及び同部会に設置された自動車排出ガス専門委員会において審議が開始された。
平成10年12月には、ディーゼル自動車の排出ガス低減対策の強化を骨子とする第三次答申が取りまとめられた。
同答申においては、ディーゼル自動車について、平成14年から16年にかけてNOx 及びPM 削減に重点を置き対策を強化し(以下、「ディーゼル新短期目標」)、さらに平成19年頃を目途に新短期目標の1/2程度を目標に技術開発を進めること(以下、「ディーゼル新長期目標」)が提言された。ディーゼル新短期目標については、平成12年9月に許容限度の改正等、必要な措置が講じられた。
平成12年9月にはディーゼル新長期目標の達成時期について検討した第4次答申が取りまとめられた。
このなかでは、ディーゼル新長期目標を2年前倒しし、平成17年までに達成すること、新長期規制の目標値については平成13年度末を目途に決定するが、その際、PM については目標値をさらに低減すること、軽油中の硫黄分の許容限度設定目標値を平成16年末までに現行の1/10に低減すること等が提言された。
平成14年4月にガソリン及びディーゼル車新長期規制目標値を定めた第5次答申が取りまとめられた。
ここでは新たな排出ガス試験方法の導入と軽油中の硫黄分を50ppmに低減することを前提に、平成17年末までに表1に示す新長期目標値として、NOx は40%、PM は80%減という大幅な強化案が示された。
これらの答申の作成においては、大気汚染の状況、自動車の寄与率、排出ガス低減技術開発の進捗状況を総合的に判断・精査したうえで、低減の必要性と、目標年度までに達成可能と予測される技術レベルから規制目標値が提言されている。
また、欧米においてもほぼ同時期にディーゼル排出ガス規制の強化が予定されている。大型ディーゼル車排出ガス規制値の国際比較を図3に示す。