低周波音事件と今後の低周波音対策2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・○楊井 この事件は、公調委が初めて取り組んだ低周波音被害の事件でもあり、発生源側が対策をとることで解決し公害紛争処理制度をうまく活用した事件でもあると思います。

まず、この事件の体験談などをお話しいただけたらと思います。
○塩田 まず、最初に感じたのは、以前、私が関与した事件と異なり、専門委員が当事者との面談の場に参加するようになったことです。

専門委員の位置付けが、いわば黒子から役者の1人になったようでした。
○針塚 専門委員のあり方も随分変わってきているのは事実です。

専門委員は特別な部分にだけ関与していただくのが従来のパターンだったのですが、昨今は、因果関係が困難な事件とか大規模な事件が公調委に係属するケースが増えてきて、円滑な事件処理のためには専門委員にずっと参加していただかなくてはいけないという形になってきたのです。

両先生は期日に全部出席することはなかったかもしれませんが、最近終結した有明海における干拓事業漁業被害原因裁定申請事件とか、今係属中の富山県黒部川河口海域における出し平ダム排砂漁業被害原因裁定嘱託事件などでは、専門委員に早い時期から参加していただくような進め方になっています。

専門的な知見を活用して事件を解決するというのが公害紛争処理制度の特徴ですし、最近では、専門委員にかなり深く関与していただかなくてはなかなか解決できなくなっています。
○塩田 清瀬・新座の事件は、病院の屋上に設置された空調室外機が問題になった事件です。この事件で最初に現場に行って印象的だったのは、室外機が工場などで使われるような大型機器だったことです。

これまで病院などの社会施設に設置される室外機は、室内の機械と室外機が1対1で対応するものでしたのが、この場合は1台の室外機に多数の室内機が接続する、いわゆるマルチエアコンで大型の室外機が設置されていたことが特徴的でした。

馬力の大きいものを据え付ける際に、それらについて何ら考慮しなければ、必然的に騒音問題が発生することになるなと感じました。
それから住民の話を聞いてみると被申請人側とどこかで食い違いが生じてしまったのではないかという印象を受けました。

住民は、閑静な住宅地に普通とちょっと違った施設(病院)を建てられたら、周辺環境が悪くなるというような意識をもったりします。

建築者側の説明が、最初のボタンのかけ違いになり、そのままずっと進んできたというような印象でした。実際、今まで聞いたこともないような音が24時間ずっと聞こえてくる、これでは、「いてもたってもたまらない」というようなことになっていたのではないかと思いました。

医療法人のトップの方は、このような問題が起きるということについては、建設会社や設計事務所から説明を受けておらず、むしろ、騙された方だというような意識だったと思います。
○落合 私が最初に現地を見に行き、室外機が住宅の方に向いて設置されているのをみて、周辺の住民に対してあまり気を使っていないという感じがしました。

住宅がすぐ向かいにあるわけですから、そちらの方向に発生源を向けないとか、なるべく中央に寄せるとか、あるいは住宅に面していない側に取り付けるとかいろいろ方法はあるはずですが、このような配慮がなされていませんでした。
○楊井 清瀬・新座の事件は、最終的にうまく調停が成立しましたが、どのようなことがポイントになったでしょうか。