ビスフェノール A 2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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内分泌攪乱化学物質としての懸念 [編集]
ビスフェノールAを摂取するとエストロゲン受容体が活性化されて、エストロゲン自体に類似した生理作用を表す。

1930年代に卵巣を除去したマウスにこの物質を投与する実験が行われ、作用が初めて証明された[5][6]。

フォム・サールによる「低用量仮説」 [編集]
ビスフェノールAが、従来の無作用量より遥かに低濃度でのみ毒性を有する、という「低用量仮説」が提唱された。

これは従来の薬理学とは全く矛盾する内容であったため、大きな議論となった。

フォム・サール (F. vom Saal) とヒューズ (Claude Hughes) の論文(2004年)によると、合成樹脂の製造業者らが行った検証(11件)ではエストロゲン様作用が認められなかったのに対し、他機関の研究では104例中の約9割で上記の症状が出るという結果となった。

これをフォム・サールらは、製造業者らが都合の良い試験結果のみを採用したためであると主張した[7]。

アメリカ・プラスチック協会によって資金を提供されているハーバード・リスク分析センターによる以前の報告では、危険性を証明するにはまだ根拠が乏しく、定量的に証明できていないとされていた。

ヒューズはハーバード・リスク分析センターの委員を務めていたが、彼は上記の論文の中で、その見解は時代遅れのものである、なぜなら2001年から出版されている低用量のビスフェノールAに関する多くの論文のうちわずかしか考慮していないからだ、と述べている。

2006年、フォム・サールとウェルションス (Wade V. Welshons) は、製造業者の資金提供によって行われた少数の研究が低用量のビスフェノールAの効果を見落としていた原因について、詳細な分析を報告した[8]。

また、アメリカ政府機関によって開設された委員会による再調査によると、それらの論文の1つは実際にはビスフェノールAについての影響を発見していたにも関わらず、この結果を否定する内容になっていた。

一部の研究では陽性対照を使っておらず、他の研究との比較によって陰性対照が汚染されていた可能性も示された。

さらに、エストロゲンに反応しにくい種類のラットを使用した研究もいくつか存在した。

その後の研究の経過 [編集]
アメリカ化学工業毒性研究所は、フォン・サールらによる「低用量仮説」を慎重に検証し、彼らの実験結果が再現しないと発表した。

またハーバード大学リスク分析センターや各国の政府機関(FDA、EFSA、ECBなど)でも低用量仮説を含めた研究結果を集めて詳細に検討し、ビスフェノールAはヒトの健康に影響がないことを報告している。

現在ではビスフェノールAは、他の「環境ホルモン」疑惑を受けた化合物と同様、通常の摂取条件ではヒトに対して大きな影響を及ぼすものではないという考えが強まっている。

ただし生態系への影響、胎児や乳幼児への影響に関してはまだ研究が進行中である[9]。

厚生労働省は、「成人への影響は現時点では確認できない」としながらも、「公衆衛生上の見地から、ビスフェノールAの摂取をできるだけ減らすことが適当」と報道発表(2008年7月8日)した。

また、同日に一般消費者向けの「ビスフェノールAについてのQ&A」が公表されている。[10]

2010年10月13日、カナダは動物実験の結果から健康や環境に有害で、神経異常や早熟も引き起こすとして有毒物質に指定した最初の国となった[11][12]。