・東京都健康安全研究センター環境保健部生体影響研究科より
・B-7-10.オクタクロロスチレン(Octachlorostyrene)
1)ヒトの健康影響に関連する情報
9名の男性アルミニウム鋳造工場の従業員の血中オクタクロロスチレン濃度 (54.6ng/g lipid) は,対照のヒトと比較して約8倍高い.しかし,腎臓,膵臓,肝臓の機能には,異常がなかった1).
塩化ビニールとマグネシウムのプラントの職業性暴露における35名の従業員の血中濃度は,一般人と比べ高値を示した2).
2)内分泌系・発生過程に対する影響
3) の項に甲状腺の組織学的変化の報告あり.
3)実験動物での臓器障害性に関する情報
肝重量増加,血液性状の変化 (コレステロール量増加),肝ミクロソーム酵素量の変化,甲状腺・肝・腎臓の組織学的変化:ラット 混餌 0.005-50ppm 12ヶ月間3)
肝・腎・脾臓肥大,血液性状の変化,肝ミクロソーム酵素量の変化,蓄積性:ラット 混餌 0.05-500ppm 13週間4)
肝肥大,薬物代謝酵素誘導,肝・甲状腺の組織学的変化,肝ミクロソーム酵素量の変化,血液性状の変化:ラット 混餌 5-500ppm 28日間5)
肝重量増加,肝ミクロソーム酵素量の変化,血液性状の変化:ラット 経口 1300-3710mg/kg 14日後5)
薬物代謝酵素誘導:マウス 腹腔 200mg/kg/日 5日間6)
その他:ラット・マウス・ウズラでポルフィリン症を示唆する報告あり7,8).
4)腫瘍発生に関する情報
発癌 (-):ラット 混餌 50ppm 12ヶ月3)
(鉄の併用投与で肝結節性過形成発生の報告あり7) )
5)変異原性に関する情報
AMES 試験陰性:サルモネラ TA98,TA100 2-4000μg/プレート (±S9)9)
6)致死毒性に関する情報
LD >3710mg/kg ラット 経口 所見:甲状腺萎縮5)
LC50 0.068mg/l (96時間) boek:Nitocra spinipes (甲殻類) 水中暴露10)