・
用途 [編集]
農薬 [編集]
殺虫効果が高いことから、乳剤、加湿性粉剤などとしてイネ、野菜、果樹、生薬などに広く使用されたが、人に対する毒性も強く、また、異性体の残留問題もあり、現在は多くの国で使用が禁止されている。
日本では1969年に牛乳への汚染が問題視され[1]、1971年に失効となった。当時のサザエさんにも、「BHC牛乳」が飲めなくなってタラオが怒る、という話が描かれるほど、この問題は社会に影響を与えるものであった。
BHCはDDTや除虫菊と同じように昆虫の皮膚から浸透して、神経を侵す接触剤といわれるものである。
それと同時に、薬のついた草を食べて消化器から吸収される食毒剤でもある。さらに空気中に蒸発して昆虫の呼吸器から吸収され、殺虫効果を発揮する。要するに、害虫が薬に触れなければ効果がないので、ウンカのように稲の葉の上にいる場合には効果が上がるが、メイチュウのように稲の茎に潜っている虫には効き目がない。
中国では、分子式から「六六六」という名の農薬(殺虫剤)として知られるが、使用は一部例外を除いて原則禁止となっている。
リンダンの音訳として「林丹」という呼び名も使われた。
住居用燻蒸剤 [編集]
初期のバルサンの主成分として用いられるなど、ゴキブリやダニにもよく利く住居用の燻蒸剤としても使用されたが、現在は使用が禁じられている。
医薬 [編集]
疥癬の治療薬として、皮膚の患部に塗布し、原因となるヒゼンダニを殺すのに用いられている。
また、アタマジラミの駆除に用いる国もある。我が国では規制のため、医薬品としては入手できず、試薬等として購入し、院内調剤して用いられていた。2010年4月より法改正のため、日本国内では医療用途には入手不能となった。
製法 [編集]
ベンゼンと塩素ガスを混ぜた状態で紫外線を照射すると塩素ラジカル (Cl•) が発生する。
これをベンゼンに繰り返し付加させると BHC が得られる。