原発性高脂血症に関する調査研究 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・文献番号 200936019A
研究課題 原発性高脂血症に関する調査研究
研究年度 平成21(2009)年度
報告書区分 総括
主任研究者(所属機関) 山田 信博(筑波大学)
分担研究者(所属機関) 及川 眞一(日本医科大学第三内科)、

武城 英明(千葉大学大学院医学研究院)、

白井 厚治(東邦大学医学部付属佐倉病院)、

石橋 俊(自治医科大学内科学講座)、

太田 孝男(琉球大学医学部育成医学)、

山下 静也(大阪大学大学院医学系研究科)、

後藤田 貴也(東京大学大学院医学系研究科)、

林 登志雄(名古屋大学医学部付属病院老年科)、

荒井 秀典(京都大学大学院医科学研究科)、

横山 信治(名古屋市立大学大学院医科学研究科)、

小林 淳二(金沢大学大学院医学系研究科生活習慣病講座)、

斯波 真理子(国立循環器病センター研究所バイオサイエンス部)、

衛藤 雅昭(奥羽大学薬学部臨床内科・薬理学)、

曽根 博仁(筑波大学大学院人間総合科学研究科)、鈴木 浩明(筑波大学大学院人間総合科学研究科)
研究区分 厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
開始年度 平成20(2008)年度
終了予定年度 平成22(2010)年度
研究費 28,000,000円
概要版 研究目的:
原発性高脂血症の実態と発症機構の解明、治療法の開発を目的として研究を行った。
研究方法:
本年度は、家族性高コレステロール血症(FH)、高脂血症のゲノム解析、レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)欠損症の遺伝子治療の基礎的検討を中心に研究を行った。
結果と考察:
 急性冠症候群(ACS)におけるアキレス腱肥厚を有する患者は、男性の20%、女性の14%に認められ、ACS患者にFH患者が高率に存在することが示唆された。

スタチンの登場によりLDLコレステロール値を十分にコントロールできるようになり、FHの冠動脈イベント発症年齢が高くなっていることも明らかとなり、家族性高コレステロール血症を早期に診断・介入することが重要であると考えられた。

また、本研究班の研究成果により、今年度、家族性高コレステロール血症ホモ接合体が特定疾患に認定された。FHホモ接合体の治療にはLDLアフェレーシス療法が欠かせないが、薬物療法で十分LDLコレステロール値をコントロールできないヘテロ接合体患者にとってもLDLアフェレーシス療法は必須の治療法である。

しかし、金銭的な面からLDLアフェレーシス療法を継続できない実態も明らかとなり、今後の課題である。 

高LDL-C血症、低LDL-Cル血症ともに、PCSK9の変異を有する患者が比較的高頻度に存在することが明らかとなった。

また、高度高トリグリセリド(TG)血症の半数にリポタンパクリパーゼ(LPL)に異常が認められたが、大多数にはLPL遺伝子変異が認められなかった。

また、LPLが正常な高TG血症患者に、アポAVとangptl3の異常が認められ、これらが高TG血症の発症に関与していると考えられた。 遺伝子導入脂防細胞の自己移植することにより、目的蛋白を長期にわたり安定的に補充する方法開発するためにLCAT欠損症をターゲットにヒトに臨床応用するための基礎的な検討を行い、製造法と品質試験法、薬効評価系、生着率評価系を確立し、安全性についても確認した。
結論:
スタチンの登場によりFHの予後は改善したが、ACSを発症するFH患者は未だ多く、早期の診断と介入が重要であると考えられた。

原発性高脂血症や低脂血症の遺伝子変異が明らかになってきているが、不明なものも未だ多い。

LCAT遺伝子治療のための基礎的検討を行い、臨床応用可能であることが確認された。
公開日 2010年05月19日